「いくつまで生きますか?」と、大塚宣夫さん2023/06/19 07:18

 大塚宣夫さんが、『銀座百点』の1月号から6月号まで、「いくつまで生きますか?」というエッセイを連載した。 大塚さんはご存知、青梅慶友病院とよみうりランド慶友病院を経営している老年医療、特に終末期医療を専門とする医師であるが、高校の同級生だから年齢はほぼ一緒(彼は早生れ、私は4月生れ)だ。 その彼が、まず「あなたは今、生きていますか?」と問い、「当たり前じゃないか!」というムッとした答に、「それでは、明日はどうでしょうか?」「一週間後では?」「一か月後は?」「一年後は?」と聞く。 少しずつ、自信がなくなってきたのではありませんか、と。

 大塚さんは、80歳の今、自分の寿命を88歳、あと8年生きると決めたのだそうだ。 糖尿病などいくつかの持病はありつつも、病院の仕事に励み、趣味のゴルフやおいしいものの食べ歩きを楽しんでいた。 ところが、2022年初夏の健康診断で、血液のがんの一種、多発性骨髄腫にかかっていることが判明した。 たくさんの患者さんを診てきた経験と、検査の数値を見て、進行は比較的遅いだろうと推測し、治療計画を考え、「いくつまで生きたいか」を自分に問いかけ、具体的な目標として、寿命を設定しようと思った、のだそうだ。 日本で現在、最も多くの死亡届が出されている年齢は、男性で88歳、女性は92歳。 それで自分も、日本人としての責任を果たすべく、88歳まで生きよう、と思い立ち、88歳と決めた。

 それまでのあと8年、今なにをするのか、またはなにをやめるのか? 自分自身の経験をもとに、読者のみなさんと一緒に考えていきたい、と連載は始まった。