三笑亭夢丸の「噺家の夢」2023/12/07 07:00

 夢丸は、朝枝と対照的に、ピョコピョコにこやかに出てくる。 国立劇場の建て直しに7年かかるそうだ、パッとサイデリアとは行かないらしい。 ある師匠は、生きている内に出来ないかも、と。 うん、と、うなずいたら、うんというんじゃないと、怒られた。 入門した頃、客足の悪い寄席で、12時開演なのに客がいない。 客が来たゾーーッというんで、急いで高座に上がったら、客が出口へ逃げて行くところだった。 無観客の先駆け。 明くる日も、客が一人。 借り切りの、リッチな気持、五十人ぐらいいるつもりで、と声をかけたら、昨日逃げたのも俺だ、と。

 師匠の四代前の頃、地方では客が一人、二人というのはざらだったと聞いた。 採算が取れず、現地解散。 少しずつ、東京へ帰って来る。 懐に8円しかなく、東京への汽車賃にもならない。 この辺に駅はありますか? 線路の脇にある。 その線路は? 山を越えたところだ。

 山奥で暮れてきたので、泊めてもらえないか、と聞く。 どことなく間の抜けた顔だが、何をしている? 噺家。 カモシカか? 座蒲団の上に座って、一人でしゃべるんで。 頭がおかしいのか、まあいい、上がれ上がれ。 おナカは? ぺこぺこ。 雑煮でよかったら、食え。 自分で、よそえ。 頂戴します。 おじさん、噛みしめるたびに、ジャリジャリしますが? 味噌が足りないから、赤土入れた。 藁のようなものが、入ってますが? 藁だよ。 うちの村秘伝の、イタチの味噌漬けはどうだ。 けっこうで。

 おはようございます! 10分か15分で、鶏を絞めるが食うか。 食えない。 魚屋はありませんか。 魚屋はいないが、山を越えれば、浜で魚が買える。 ふっかけるから、値切って、安く買え。

 ここか、きれいな浜だ。 魚をわけていただきたい。 この鯛、おいくらで? 安かねえぞ、驚くな。 一匹1銭だ。 嘘でしょ。 20銭なら、20匹並べる。 30銭なら、マグロとカツオも。 鯨、持って来い。

 5銭で、おつりを。 つり、ないぞ。 どうぞ、お取り下さい。 骨休めの村祭りにすべえ。 ありがとうございます、万歳、万歳!

 鯛を買ってきました。 幾らで? 1銭。 1銭あれば、網ごと買える。 一晩お世話になったんで、10銭。 10銭玉、初めて見た、孫子の代まで安楽に暮せる。 8円あったら、どうなる。 1円は、1銭が100枚。 庄屋さんの蔵に50銭玉がある、日本国中から集めたって聞いた。 お前様は、東京の三井様か、しばらく住んでもらいたい。 ここで暮らすことにしよう。 腕扱きの大工13人が、20銭。 牛車がずらっと2、30台、持参金付きの娘が来て、30銭で村長になってくれと言われたところで、寄席の楽屋で目が覚めた。

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