柳家さん喬の「ちきり伊勢屋」上2023/12/11 07:10

 さん喬は「ちきり伊勢屋」を落語研究会で、2006年の暮から2007年の正月にかけ、(上)(中)(下)の三回に分け、演じていた。 2006年12月28日の第462回が(上)、1月4日の第463回が(中)、1月25日の第464回が(下)で、私は当日記に全て書いている。 今回、正蔵が「おすわどん」で短く上がった後のトリ、長講ながらたったの一回に、どういうふうにまとめたのか、楽しみに書いてみたい。

 さん喬は「ちきり」という言葉の説明から始めた。 板と板をつなぐために、両端が広く、中央がくびれている木片を埋め込む、その木片。 石材には金属も使う。 「つながる」意味がある。 竿秤に吊り下げる分銅も、織機の部品の榺(ちきり・縦糸を巻く円筒形の棒で、中央部がくびれている)に似ているから、「ちきり」という。

 若旦那、鶴次郎さん、そろそろご返事をしませんと、お見合いのことです、と番頭。 用件を思い出しましたと、鶴次郎は出かける。 白井左近の易断所、占ってもらおう、と。 札を持って、お待ちを。 長く待たされ、終いの時間になる。 簾を上げて、もし寝ておいでの方、お待たせを、占いは端(はな)より終いがいい。 いろいろ見て差し上げる。 見合いのことで。 算木筮竹を構え、お年、お名前を。 ちきり伊勢屋の鶴次郎で。 麹町の乞食伊勢屋、ちきり伊勢屋さんですか。 ちとお顔を拝見。 妻帯はなさらないほうがいい、明年2月15日正(しょう)午の刻に、この世から去る。 そんな、馬鹿な。 それを避けることはできないのか。 避ける占いは、できない。 なぜ、死ぬ? お父様が、伊勢から裸一貫で出て来て、貧しい中から大きな身代をこしらえたのには、多くの人を踏みつけ、ひどいことをした、亡くなった人もいる。 その怨念が、生霊、死霊となって両親に取り憑いて、二人は亡くなった。 恨みが続きます、今度はあなたに取り憑いた。 世間では、ちきり伊勢屋と言わずに、貧乏伊勢屋、乞食伊勢屋と言っております。 施しをなさい、仏果を得なさい。 残された命に、好きなことをなさい。

 どこをどう帰ったか。 お帰りなさい、どちらにいらっしゃいました。 白井左近の易断所へ。 名人、日本一、大地を木槌で打つ、外れることはない(万に一つも外れることがない)と、聞いています。 死霊が取り憑いている、施しをなさいと言われた、父母が極楽往生できるように、粥施行をしよう。 粥を施し、十文お持ち、と。 お前さん、三度目だろ。 いいだろう、兄弟、親も、乞食だ。 番頭さん、よそう、惨めになってきた。

 質草をお返ししたら、どうだろう。 札は質五七六、大工文蔵、大工道具一式。 お返しします。 腹掛けどんぶり、股引がないぞ。 いつ、お預けで? 七年ぐらい前。 疾うに流れております。 何とかしろ。 わかりました、これにてお支払いをします。 番頭さん、よそう。

 世間の病気の人に、お見舞をしたら、どうか。 畳屋さんが、怪我をした。 瓦職人が屋根から落ちた。 あちこちに施しをすると、瓦職人は酒をあおっていた。 番頭さん、よそう、こちらが見てて、辛くなる。

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