春風亭一之輔の「かんしゃく」前半2024/08/08 07:01

 いやはや、熱中症警戒アラートというお暑い中、落語研究会にお出で頂いて。 暑い中録画して、真冬に放送されるかもしれません。 放送されないかもしれません、私が捕まったり、地球があるかどうか。 気温が40度を超えてる、冷房に人が集まる。 ここには、心の底から自分が若いという人は一人もいないでしょうが、切に健康を祈ります。 お金を払って、落語を聴く人が大切、テレビ見てる人はどうでもいい。

 一人で生きている。 自分の価値観で。 娘がシャケの皮を残す、言語道断。 気持悪い、と言う。 お父さんが食べると言うと、それも気持悪い、と。 ポーカーフェイスでも、感情は伝わる。 パリでオリンピック、阿部兄妹というと仇討ちのようだが…。 詩さん、ギャーーッと、泣いていた。 よっぽど頑張ったから。 落語家は、そんな一生懸命に稽古していない。 客と折り合いがつかなかった、と考える。 おばさんがスーパーで、私それ買うから、早く半額のシールを貼って、と怒鳴ってる。 値切りというより、ほとんど泥棒。 しょうがない人なんだろうと、ちょっと思う。 これからやるのは、閲覧注意の動画みたいな、そういう落語。 虐げられている奥さん。 自分たちが幸せだと思うご夫婦は笑う。

 大きな会社の社長、運転手付きの車で帰って来る、門から邸宅まで距離がある。 「お帰ェーーりーー。お帰ェーーりーー。ププーッ」 (とびきりの大声で)「オイ、コラーーッ、コラーーッ、何してる。どうして誰も出て来んのだ、立花が呼んどるのに…」 凸山、なんで箒を垣根に立てかけておくんだ。 箒を、早く片付けろ。 女どもが玄関に下駄を散らかしている。 ステッキを受け取れ。 帽子掛けが曲っとる。 庭に水を撒かんか、日が落ちて撒くと、根が腐る。 蜘蛛の巣、隅に蜘蛛の巣が張っている。 原田、なぜでしょうね、などと言わず、飛べ。 羽ばたくな、長いものを持って来い。 ゴムホースを持ってきて、どうする。 長いもの、箒だ、柄の方を持たないで、どうする。 しめしめ。 布団を持って来い。 寝るんじゃない、座布団だ。 団扇で、バタバタ扇ぐな、秋刀魚じゃあるまいし。 おだやかに、静子、お茶が飲みたい。 熱ーーッい、熱ーーッい、女だろ。 床の間の花が曲っている。 額が曲っている。 釘が一本抜けましたァーだって、こういう(一之輔、右手を上に、左手を横に延ばして、その形をつくり)先の曲った釘を持って来い。 届かん、踏み台を早く置け。 (金槌で指を打ち)痛ッ! (指を間違えて、違う指をなめ)こっちだ。 アーー、ウーー!

 旦那様、お邪魔しております。 中村君、えらいところを見られてしまって。 あの件で、わざわざ来てくれたのかい。 昼過ぎに話がまとまった、これから何もなければ、飯を食って、湯に入って、ゆっくりしていってくれ。 何ッ、湯が沸いとらん! じゃあ、飯を。 何ッ、飯が炊けとらん! もう、よい。 お清、土瓶を蹴飛ばすな。 雑巾だ、雑巾、目なりに拭け!

 奥様、旦那様の御機嫌が悪いようなので、出直して参ります。 中村君、中村君、オーーイ中村君! 静子、中村君はどうした。 お帰りになりました。 捕まえろ、連れ戻せ!

 それはお帰りになりますよ、あなたのようにガミガミ、ガミガミ、怒鳴りつけていたら。 お前たちが言わせておるのだ。 あなたに、お願いがございます。 こちら様では、勤まりません。 里に帰らせて頂きます。 里に帰る、暇をくれ、だと、出てけとも言わんのに…。 ああ、面白い、立て! 前へ進め! 去れ!