イタリアの二階建通勤電車ロックの開発2024/08/19 07:01

 鉄道システムには、車両だけでなく、(1)駅・線路、(2)車両基地、(3)発電所、(4)信号系統などがある。 新しい路線には、特に信号系統が重要なのだが、国によってシステムが違う。 それを一から開発するには、膨大な費用と時間がかかる。 日立製作所は、イタリアで鉄道を売り込むために、2015年2月に二つの会社を買収した。 1853年創業の老舗車両メーカーと、信号システムの大手企業だ。 これがヨーロッパでの鉄道システム進出への足がかりとなった。

二階建通勤電車ロックRockの開発を、車両メーカーのあるピストイアで、現地社員と始めたのは、稲荷田聡さん。 ナポリ工場での製作は、現地社員、スタッフに任せ、現地の人材や文化を生かすやり方を取った。 相手のペースに合わせて、(1)けしてNOと言わない、まず話を聞く、(2)人を選ぶ、本当に決定する人を見つける。 この方針で、丁寧な意見交換をした。 先方が自分たちの主張にこだわるのは、買収された不安にあることもわかった。

鍵になったのは車両用の制御装置だった。 パワーユニット、動力を生み出す機器だが、日本側は小さい方がいいという考え方で、二階建電車の屋根に大きなものを載せるとカーブでバランスを崩す恐れがあった。 イタリア側は、故障した場合の補助を組み込んだ大きなものを主張した。 故障に対する考え方の違いは、日本のパワーユニットの故障率ゼロに近いデータを示して、了解を得た。 2019年、二階建通勤電車ロックRockの運行開始。 ゆったりしたスペース、最高速度160km/h、1600人を乗せ、定時運行、乗り心地の良さで大好評、今や700両になっている。

技術の融合、透明性とハーモニー、日本の「和」の精神だという。 日立製作所は、鉄道部門の本社機能をイギリスへ移し、鉄道部門の売上今期1兆円超予定の8割が海外になっている。 その信号システムも、34カ国で使われているそうだ。

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