桂米輝の「牛ほめ」 ― 2024/11/24 07:42
急に寒くなった20日は、第677回の落語研究会だった。 桂米輝(よねき)はツルツル頭、いきなり高い大声で「ありがとうございます、大阪から参りました」と。 ニックネームが「甦った瀬戸内寂聴」というんで、4月の会で「八五郎坊主」を聴いたのを思い出した。 ある会で、二番目の出番だったので、お囃子をやっていると、トリの吉弥(?)(先月出た桂吉弥か)が寄って来て、小声で「忘れたんだ、帯貸してえ」と。 貸すと、帯を返し、ポチ袋をくれた。 中を見ずに、家に帰ってガス代を払いに行った。 だいたい千円位だろうと思っていたら、五千円出てきた、ここは大阪だと「ウォーーッ!」となるところだ。 ある時は、染二師が寄って来て、ヘヤーブラシ持ってないか? 持ってない(と、ツルツル頭をなでる。)
こっち、入り。 銭儲けの世話をする、池田の伯父さんが普請した、その普請を褒めれば小遣いがもらえる。 わて、それ、前にやって懲りてる。 兄ィが茶の間の普請をした。 大工四人、三月かけたと自慢するから、燃えたら一晩だ、と言って、しくじった。 柱の上に、棒が出ていて、大工自慢の「天狗の鼻」だっていうから、いつでも首が吊れると、言っちゃって、でぼちん(おでこ)を打たれた。 入口が狭いと言うと、困らん言うから、死んだ時、棺桶が出ない、大戸でゴーゴーとやれば、家族が死んでも出られる、と言っちゃった。
普請の褒め様を教えてやる。 結構なご普請でございます(ここからの詳細は、とてもメモできなかった)。 硯と紙を(と書いてもらわなければならないのは、与太郎と同じ。) 天井は薩摩の鶉木理(うずらもく)、(以下怪しい断片を並べると、)総一面のトガ造り、庭は縮緬漆喰、上がり框は松、節無しの三間半、見るだけでなく手でなでるんだ、畳は備後表の五分縁(ごぶべり)、富士山の掛け軸、縁側、手水鉢。
台所の大黒柱に、節穴があるのに気付いた。 家相に関わるので、知恵を貸しましょう、と言うんだ。 節穴に秋葉はんの火伏せのお札貼ったらいかがでしょう、穴が隠れて火の用心になります、と言え。 三円はくれる。
それから、自慢の牛も褒めろ。 牛も褒めようとして、しくじったことがある。 この牛は、色の黒い、骨太の、と褒めるように、教わってた。 褒めようとすると、お嬢さんがお茶を出した。 色の黒い、骨太の、と言っちゃった。 牛の褒め様は、天角地眼一黒直頭耳小歯違と言うんだ。
池田のおっさん。 大阪のアホか。 普請を褒めに来た、勉強してきた。 懐から紙を出して、天井はサツマイモのうずら豆……。 台所の大黒柱に、節穴がある、家相に関わるので、知恵を貸しましょう、秋葉はんの火伏せのお札貼ったらいい。 そうか。 只では行かない。 二円やろう。 三円のはず。 とっといてくれ。 牛も褒める。 何だ、二本足か? それは、ニワトリだ。 牛が後ろを向いて、お尻をむけた。 穴がある。 おっさん、この穴にも、秋葉はんのお札貼っときなはれ。 穴が隠れて、屁の用心になる。
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