「防人(さきもり)」と「刀伊の入寇(といのにゅうこう)」 ― 2024/12/19 06:56
昨日、「『万葉集』の「防人(さきもり)」を思わせる」と書いた。 防人(さきもり)を『広辞苑』で引くと、「(﨑守(さきもり)、すなわち辺土を守る人の意)古代、多くは東国から挑発されて筑紫・壱岐・対馬など北九州の守備に当たった兵士。令(りょう)には3年を1期として交替させる規定があった。万葉集(20)「国々の防人集ひ船乗りて別るを見ればいともすべなし」」とある。 ほかのところに、前年の663年に朝鮮半島で白村江の戦いに負けたために防衛のために考えられ、664年に中大兄皇子(なかのおおえのみこ)が防人と烽(ほう、烽火(のろし))の制度をおいてからのことだ、とあった。
防人歌(さきもりのうた)という項目も『広辞苑』にある。 防人の詠んだ歌、その家族の作歌も含めていう。 天平勝宝7年(755)に召された防人の歌が万葉集巻20に集められ、巻14その他にも数首見える。 東国方言を用い、親子・夫婦の哀別を歌った純情流露の作が多い、と。(どんな歌があるか、明日見ることにする。)
交替する防人を引率して行く、国司の官人を、「防人部領使(さきもりのことりづかい)」、大宰府に属し、防人の名簿・教練・検閲などに関することをつかさどる役所・役人を、「防人司(さきもりのつかさ)」といったそうだ。
大河ドラマ『光る君へ』の終盤近く、「刀伊の入寇(といのにゅうこう)」が描かれた。 (『広辞苑』は「刀伊賊(といのぞく)」で立項)。 元寇はよく知られているが、この事件を、私は知らなかった。 『百科事典マイペディア』に、「刀伊とは高麗(こうらい)が蛮族とくに女真(じょしん)族を指して用いた語。女真は大陸の沿海州地方に住み後に金を建国するツングース系の民族で、高麗の北辺に接して海から侵入したりしていたが、平安中期の1019年対馬・壱岐・北九州を襲った。大宰権帥(ごんのそつ)藤原隆家らによって撃退されたが、刀伊入寇は太平に慣れた朝廷・貴族を驚かせた。」とある。 関連項目に、大河ドラマでロバートの秋山竜次が演じた「藤原実資(ふじわらのさねすけ)」がある。 「(957~1046)平安中期の高官。祖父実頼(さねより)の養子となって小野宮(おののみや)を継ぎ右大臣に進んだ。性剛直、全盛期の道長にも追従せず、刀伊の入寇を撃退した藤原隆家の行賞を主張した。朝廷の儀式に詳しく、日記に《小右記(しょうゆうき)》がある。」
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