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    <title>轟亭の小人閑居日記                        　　　馬場紘二</title>
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    <pubDate>Sat, 25 Apr 2026 07:11:22 +0900</pubDate>
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      <title>佐藤賢一『釣り侍』＜等々力短信 第1202号 2026（令和8）.4.25.＞</title>
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      <pubDate>Sat, 25 Apr 2026 07:10:01 +0900</pubDate>
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      <description>&lt;p&gt;　「私の城下町」と「庄内のうまいもの」という「等々力短信」を、昭和62（1987）年3月に書いていた。　山形県鶴岡市は父のルーツの地で、公園地と呼ばれていた城跡や致道博物館に近い家中新町で、伯父が魚屋を営んでいた。　鶴岡出身の佐藤賢一さんの近著『釣り侍』（新潮社）の主人公二人、前原又左衛門と山上藤兵衛の家は、「読んで字のごとくに武家の屋敷が並んでいる町」、その家中新町にある。　羽州大泉藩は、将軍徳川綱吉の生類憐みの令の頃の、三代藩主松平忠義公が武士の嗜み、武用の一助として釣り、鳥刺しを侍の鍛錬として奨励した。　前原と山上は竹馬の友、家格も百石、百十石と近い。　二人は初夏四月、夜中に起き出し、内陸の城下から四里二刻の道を、釣り道具を背負い、三間余の荘内竿を担ぎ、大小を差して、海へと最後の山を越える。
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　波の荒い加地（加茂か）の磯の岩場で、朝まずめの釣りどき、前原は二歳鯛（にせで）と呼ぶ若い黒鯛、山上は大タナゴを釣り、鶴茶屋で料理してもらう。　そこへ用人の川村が、磯釣り中の十代藩主松平忠昭公が海に落ちたと、急を告げる。　溺死、幕府には急な病で逝去と届け、跡目相続を急ぐことになる。　嫡子十三歳の万千代か、忠昭の異母弟鉄之介か、それぞれを推す派閥が藩を二分する。　家老竹林、用人川村は万千代を、藩主の親戚中老の信保、郡代石川は鉄之介を推す。　勘定目付の前原は用人川村に頼まれ家老派、郡奉行の山上は石川が上司で中老派に、加わらざるを得なくなった。
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　一方前原の娘紗世（さよ）と、山上の息子弁四郎の縁談が進んでいた。　弁四郎は、才気煥発、学問に優れ藩校至道館の助教を務める。　弁四郎は、万千代様に講義して、儒学には朱子学、陽明学、徂徠学があり、朱子学は忠孝の学問、陽明学は理想の学問、徂徠学は解決の学問だ、大泉家の学問は徂徠学、現実の問題に直面したとき、これを如何に乗り越えるか、その知恵を求めようというものだ、と説く。　その弁四郎のひょんな発案から、跡目争いを秋の大泉藩恒例「御磯行」の釣りで決着することになる。
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　『釣り侍』は、私も知っている「荘内のうまいもの」のオンパレードだ。　だだちゃ豆ご飯。　松尾芭蕉が＜めずらしや山をいで羽（は）の初茄子（なすび）＞と詠んだ丸茄子の浅漬け。　赤カブの浅漬け、もって菊のおひたし、はららごのなます。　口細鰈や、鮭の味噌粕漬けの焼物。　氷頭（ひず）なます。　アンコウの皮と身さ、すりつぶした肝の、とも和え。　寒鱈の身、頭、鰭、臓物も放り込んだ「胴殻（どんがら）汁」。
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　十一代藩主を決める磯釣り「勝負」、陰謀やチャンバラも絡み、家老派と中老派の争いに負ければ、失脚や懲罰処分となる。　前原家と山上家の運命、紗世と弁四郎の結婚はどうなるか、その結末を楽しみにして、『釣り侍』を読んで頂きたい。
&lt;/p&gt;</description>
      <dc:subject>等々力短信</dc:subject>
      <dc:subject>身辺雑記</dc:subject>
      <dc:subject>文芸</dc:subject>
      <dc:subject>歴史</dc:subject>
      <dc:subject>食べる</dc:subject>
    </item>
    <item>
      <title>七つの時から、おさんどんをして料理を覚える</title>
      <link>https://kbaba.asablo.jp/blog/2026/04/24/9850480</link>
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      <pubDate>Fri, 24 Apr 2026 07:03:40 +0900</pubDate>
      <dcterms:modified>2026-04-24T07:05:01+09:00</dcterms:modified>
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      <description>&lt;p&gt;　後日、田ノ上ヨネ子が口述筆記に、北鎌倉を訪れる。　春子と使用人の松山（満島真之介）が迎え、どうかと聞く春子に腕と肩が筋肉痛だと言う。　いつもの部屋で待たされていると、魯山人が聞いているラジオの音がする。　ちょっと覗くと、魯山人は泣いていた。　「あんた、部屋を覗いたな、顔に出ている。」　「すみませんでした。」　「正直でよろしい、好奇心があるのもよろしい。」　「あんた、何が知りたい？」　「世間で、傍若無人、傲岸不遜と虫けらのように言われる北大路魯山人が、どのように出来たか、知りたいのです。」　「あんた、はっきりしていていいな。」
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　「生れは、京都上賀茂や、調べて知っているだろう。私は、捨て子や。父も母も知らん。房次郎という名前だけある。三つの時、真っ赤な躑躅（つつじ）を見て、美しいものを探すために生れてきたんだと思った。それから里親を何人か転々として、ようわからん。叱って棒で打つ、錯乱した中年女の醜い顔が目に浮かぶ。」
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　番組は、モノクロの小さな画面になる。　「そんから、木版屋の福田家にもらわれ、やっと福田という苗字がついて、福田房次郎になった。福田の家で、役に立つ人間になろうと思って、おさんどん、台所仕事を自分から始めた。」　房次郎が、かまどで薪をくべて米を炊き、福田の父、母と食事をしている。　父親が飯を食い、「美味い、美味すぎる。一等米を買ったのか？」と怒る。　母親が「三等米の金しか渡してません。」　問い詰める父に、房次郎は「何種類かの三等米を少しつくね混ぜて、水切り時間をきっちり計って、強う炊いたら、美味しくなります。毎日ここで勉強させていただきまして。」　画面には、いつの間にか、色がついていた。　「何か、褒美をやろう。」　「釜についたオコゲをください。」　「オコゲか、なんぼでも食え。」
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　「食べ物に執着して、道端の野草や、田圃のタニシでも、美味しいものをつくった。福田の親の喜ぶ顔が見たくて。」
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　ヨネ子が、「実のご両親のことは」と聞くと、魯山人は席を外してしまった。　三十分、永遠かと思われる時間が流れて、いい匂いがしてきた。　ヨネ子の腹が鳴る、立って行くと、魯山人がかまどに薪をくべてご飯を炊いていた。　「覗いてないで、こっちきいや。お米も水も毎日違う、真心込めて炊くんや。オコゲが出来るほど、強く炊いたら美味しくなる。あんた、オコゲが好きか。」　「好きです。」　魯山人は、皮のある何か（？）を削って、オコゲの茶づけを作ってくれた。　胡瓜とシラスの和え物を添えて。　ヨネ子は、魯山人の目の前で、それを食べる、ニコニコしながら。　「ご飯は、最高の料理なんや、私がつくり、あんたが食べるんや。あんた、食いしん坊やな、これ持って帰れ」と、小さな風呂敷包みを渡した。
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　家に戻ってヨネ子がそれを開けると、楕円の赤い塗り物の弁当箱に、握り飯、タニシの佃煮、沢庵が入っていた。
&lt;/p&gt;</description>
      <dc:subject>美術</dc:subject>
      <dc:subject>文化</dc:subject>
      <dc:subject>歴史</dc:subject>
      <dc:subject>テレビ</dc:subject>
      <dc:subject>食べる</dc:subject>
    </item>
    <item>
      <title>魯山人、吉田茂首相を唸らせる</title>
      <link>https://kbaba.asablo.jp/blog/2026/04/23/9850299</link>
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      <pubDate>Thu, 23 Apr 2026 07:10:04 +0900</pubDate>
      <dcterms:modified>2026-04-23T07:11:41+09:00</dcterms:modified>
      <dcterms:created>2026-04-23T07:11:41+09:00</dcterms:created>
      <description>&lt;p&gt;　魯山人の家のことをしている使用人の春子（中村優子）が北鎌倉の畑で、「♪桑港（サンフランシスコ）のチャイナタウン 夜霧に濡れて 夢紅く 誰を待つ 柳の小窓 泣いている 泣いている おぼろな瞳 花やさし 霧の街 チャイナタウンの恋の夜」と歌いながら、茄子や獅子唐を収穫して、大磯の吉田邸へ。
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　吉田邸では、吉田茂首相（柄本明）が、「ようこそ、大磯まで」と北大路魯山人を迎え、手を出して握手する。　そして「傍若無人、人を人と思わぬ北大路何とかという人の料理を食べてみたくてね」と。　魯山人も、「私のほうこそ、マッカーサーとやりおうて、ふだんは人を食って生きている、吉田ナニガシという方に料理をつくること、ほんま嬉しいですね。」　「私に似て、口が悪い。」　「貴方こそ、私の真似をしていらっしゃる。」
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　台所で、魯山人は弟子の板前に、「吉田さんはイタリアやイギリスが長いから、白葡萄酒がお好きだろう、前菜は鶏肝と味噌を和えて」と。　そこへ、京丹波和知川の鮎が届く。　田ノ上ヨネ子は、もうフラフラ、台所に倒れ込んで、寝てしまう。
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　魯山人は、吉田茂に、「おこんだて」と書いた紙を渡す。　「前菜　鮎しおやき　鮎いろいろ　お茶づけ　北大路魯山人　吉田茂様　御侍史」　吉田は「温かい字だ、良寛さんがお好きか。字には全てが表れる、よい字を書こうとすると、さもしい根性まで表れる。」　魯山人は「そうですな。おのれ以上のものは出来ません、料理と同じです。」
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　吉田は、白葡萄酒のマルゴー1937を出させる。　茄子や獅子唐、菊の葉で飾られた前菜、「このパテは何だ？」　「味噌と鶏肝で。」　「日本の食べ物は、ヨーロッパ以上だな。」
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　台所では、竹串を打った鮎二匹が焼けた。　まだ寝ているヨネ子を跨いで、レモンを添えた鮎を吉田に出す。　魯山人も、吉田の前でビール瓶の栓を抜いて、飲む。　「お手に取って、腹からガブリと」　「ウーーン！　美味い、何だこれ？」　「鮎です。」　「そのビール、もらえるか？」　「わかっていらっしゃる。」　「美味い！」　次は、蓼（たで）酢につけて、齧る。　「ウーーン！」　魯山人も、鮎を齧る。　吉田は「もう、一匹焼いてくれるか。」　「ありません、これっきりです、すみません。」　「どうぞ」とビールを注ぎ、二人でビールを飲む。
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　台所で、鮎を焼きますかという弟子に、「焼かない。二匹目は、一匹目より美味しゅうはならん。」と言い、「もう一匹だけ焼いとってや」。
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　吉田は、「なぜ鮎がこんなに美味いのか」と、聞く。　「京都丹波の和知川の鮎の美味さは、腸（はらわた）にございまして、釣ったらすぐ、その腸を揺れないようにして、生きたまま大磯まで運びました。蓼は近所の川で取りました。今日の料理は、私が作ったというものではなくて、自然が育んだものを、美味しく頂戴しただけです。エヘヘヘ！」　「参った。料理は、いつ覚えた？」　「七つの時から、京都でおさんどんをして、吉田さんのような王子でなく。」　「王子と乞食か」　「王子と捨て子で」　「魯山人、口は悪いが、料理は本物だ。」　「吉田茂はんの、舌も口も大したもんでございます。」　「今度、金を持っている奴らを行かせることにするから、頼む。」
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　台所でようやくヨネ子が目を覚ます。　腹が鳴る。　弟子が「先生からです」と、一匹だけ焼いた鮎を差し出し、ヨネ子はそれにかぶりつく。
&lt;/p&gt;</description>
      <dc:subject>美術</dc:subject>
      <dc:subject>文化</dc:subject>
      <dc:subject>歴史</dc:subject>
      <dc:subject>テレビ</dc:subject>
      <dc:subject>食べる</dc:subject>
    </item>
    <item>
      <title>『魯山人のかまど』初夏編、星岡茶寮、京丹波和知川の鮎</title>
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      <pubDate>Wed, 22 Apr 2026 07:01:44 +0900</pubDate>
      <dcterms:modified>2026-04-22T07:03:07+09:00</dcterms:modified>
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      <description>&lt;p&gt;　「♪ラメちゃんたらギッチョンチョンでパイのパイのパイ、パリコットバナナで フライ フライ フライ」、エノケンの「東京節」の音楽がタイトルに軽快に流れて、NHKのドラマ『魯山人のかまど』第1話、初夏編は始まる。　音楽は、朝ドラ『あまちゃん』の大友良英。
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　星岡茶寮（ほしがおかさりょう）で北大路魯山人（藤竜也）が、居並ぶ客たちの目の前でフグを捌く。　フグの洗膾（あらい）を供して言う、「フグは食いたし命は惜しし、世間のあらゆる毒を喰らうてここまで来られた皆様でしょうが、死なない程度に召し上がって下さい。毒を食わば皿までと言いますが、私の作りました赤絵の皿までは食べられません。どうぞ、ごゆっくり。」　即座に下がる魯山人に、「よっ、北大路魯山人！」「さすが、星岡茶寮！」と、声がかかる。　そして、引っ込む廊下で怒り出し、料理人の一人に「お前、馘や！ 出てけ！」と。
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　戦後の混乱が収まった頃、北鎌倉の自邸に引っ込んで作陶をしている魯山人のところへ、雑誌『婦人の暮し』の編集長に連れられ、記者の田ノ上ヨネ子（古川琴音）がやってくる。　魯山人の語る半生を口述筆記するためだが、怒りっぽい魯山人のことだから、ヨネ子で五人目になる。　ヘイコラと恐縮する編集長の横で、ヨネ子は出された茶を美味しく飲み、赤い花の茶碗をこねくり回している。　魯山人が、「何を見ている？」　「美しくて見入っていました、白の中の牡丹が、まるでここにあるようで。」　「あんた、正直でよい。その湯呑、持って帰れ。吉田茂首相のところで料理をつくるから、手伝いに来なさい。あんた、京都が好きか？　ほな、行っといで。」
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　ヨネ子は一人、京都の山の中へ。　釣りの仕度をした男が、川へ連れて行き、「あんた、先生から何も聞いて来なかったのか？」　「先生は、藻を食べて来いと。」　「先生は、京丹波の和知川の鮎は日本一だと言って、昔は毎日星岡茶寮に生きた鮎を千匹運んだ。」と、川の藻をちぎって渡す。　藻を食べたヨネ子は、「ほのかな香りがします。」　「この香りの藻をぎょうさん食べて鮎は高貴な香りになる、先生は「西洋のメロン」の香りだと。」　鮎を釣って桶に入れ、「わしとあんたで大磯の吉田邸まで、トラックで運ぶ、チャプチャプ揺らして。何度も水を替え、わしが運転するから、あんたがトラックの上でチャプチャプやったままで。きばってや！」
&lt;/p&gt;</description>
      <dc:subject>美術</dc:subject>
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      <dc:subject>歴史</dc:subject>
      <dc:subject>テレビ</dc:subject>
      <dc:subject>食べる</dc:subject>
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    <item>
      <title>ドラマ『魯山人のかまど』、若い女性編集者のモデル</title>
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      <pubDate>Tue, 21 Apr 2026 07:02:11 +0900</pubDate>
      <dcterms:modified>2026-04-21T07:04:40+09:00</dcterms:modified>
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      <description>&lt;p&gt;　今夜、第4話の冬編、最終回が放送されるNHKのドラマ『魯山人のかまど』を面白く見ている。　陶芸や美食の大家として知られる北大路魯山人の晩年を、映画『土を喰らう十二カ月』の中江裕司の脚本・演出で描いている。　傲岸不遜、傍若無人でたやすく他人を寄せ付けない北大路魯山人（藤竜也）が、肝の据わった出版社の若い女性編集者・田ノ上ヨネ子（古川琴音）に感心し、北鎌倉の自邸で、その半生を語り始める。　その女性編集者のモデルが、作家の阿井景子さんであることを、昔「等々力短信」の「もうひとりの魯山人」に書いていたのを見つけたので、まず、それを紹介したい。　なお、この「等々力短信」には、NHKテレビの衛星放送の受信料が有料になったのは平成元（1989）年6月頃だったことが記録されていた。
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　　　　   　等々力短信　第498号　平成元（1989）年6月5日
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　　　    　　　　　　　　　　もうひとりの魯山人
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　テレビを見ていて泣いた話を、もう一つ書く。　と、言っても、今度は私ではない。　北大路魯山人、陶芸とそれに盛り付けた料理の演出によって、その死から30年を経ようかという今、人気絶頂の人物である。　この人、すこぶる評判が悪かった。　口を開けば人の悪口、何かにつけて傍若無人の、いやな人間だったから、らしい。
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　雑誌『太陽』の5月号が、「北大路魯山人 食と美の巨人」という特集をしている。　晩年の足掛け6年、親しく接して感化を受けたという食物史家（そういう職業があるとは知らなかった）の平野雅章さんという方が、こんな話を書いている。　魯山人が書斎で日本テレビのドキュメンタリーを見ていた。　それは両親を早く亡くして、ひとり新聞配達をしながら、けなげに頑張る少年の日常を追ったものだった。　画面を見ながら魯山人はあふれ出る涙をぬぐおうともせず、時にウンウンとうなずくようにしていたが、しまいには辺りはばからず嗚咽の声を発した。　やがて、平野さんを呼び、当時は貴重品だったアメリカ製のトランジスタ・ラジオを、少年の許に届けるように頼んだ。　「逆境に育ったからと言って、自分の運命を恨むようなことをしないで、努力すればこの俺のような境遇にもなれる。くれぐれも道を踏みはずすことのないよう頑張るように…」という言葉を添えて…。　伝記や評伝の類で魯山人の酷薄無慙な面ばかりが強調されるけれど、平野さんの脳裡には、もうひとりの魯山人が生きているという。
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　作家の阿井景子さん（以前『龍馬の妻』という作品を読んで感心した。最近南方熊楠と妻を書いた『花千日の紅なく』を入手、読むのを楽しみにしている）も、大学を出てすぐ、72歳の魯山人について一年間、談話をとる仕事をした。　その証言によれば、訪れる人のほとんどない邸で、魯山人はテレビ、ラジオを聴き、さして悲しい場面でもないのによく泣いていた。　「ボロボロと涙をこぼし嗚咽する魯山人、老人だからという人もいますが、私は魯山人の裡なる傷の深さを見たようで、粛然たる思いでした。幸せであれば、人はやたらに泣きませんもの」「傲岸狷介というのが、世間の魯山人評ですが、私はむしろ魯山人の孤独、優しさ、人間としての脆さを見てきたような気がします」
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　時ふれば悪口とみに薄らぎて遺せし品が世にものを言う（小林正一・歌人）。　有料になったＡHK（あの世放送協会）の衛星放送テレビで、自作の最近のべらぼうな値段を見た魯山人先生は、泣いているだろうか、笑っているだろうか。
&lt;/p&gt;</description>
      <dc:subject>等々力短信</dc:subject>
      <dc:subject>美術</dc:subject>
      <dc:subject>文化</dc:subject>
      <dc:subject>歴史</dc:subject>
      <dc:subject>テレビ</dc:subject>
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    <item>
      <title>桃月庵白酒の「花筏」後半</title>
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      <pubDate>Mon, 20 Apr 2026 08:22:48 +0900</pubDate>
      <dcterms:modified>2026-04-20T08:23:55+09:00</dcterms:modified>
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      <description>&lt;p&gt;　銚子巡業は、初日からずっと満員御礼。　地元の網元の倅、千鳥ヶ浜が江戸の力士相手に連日連勝、明日は千秋楽、いよいよ大関の花筏が出てくるんじゃないか、と大評判になる。　千秋楽の取組、結びの一番は、花筏には千鳥ヶ浜と発表された。　可哀想なのは徳さん、千鳥ヶ浜は化け物です、殺されちゃう、と帰り支度を始める。
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　約束を破ったのは、親方じゃないですか。　お前さんもよくない、病気のはずがたくさん飯を食って、大酒飲んで、連日のどんちゃん騒ぎ。　勧進元に言われたよ、毎晩女を引っ張り込んでいるそうじゃないか。　昼の取組もあるとか、お前さんもよくない。　うれしかったんですよ、ただのデブが、大関、大関と言われて。　何でもやります。　やってくれるか、ちゃんと考えたんだ。　仕切りまでやってくれ。　ハッケヨイで、両手を出して、後ろに引っくり返るんだ。　値打ちがある、大関が病気を押して、土俵に上がってくれた。　豪儀なもんじゃ花筏って。　わかりました。　負ける稽古をする。
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　一方の千鳥ヶ浜。　お父っつあん、帰りました。　ようやっと大関と相撲が取れることになりました。　わからぬか、今まで勝ってきたのは、地元の活躍で盛り上げるため、わざと負けて下さっていたんだ。　千秋楽で、その敵を討つ、遺恨相撲だ、土俵の上で殺される。　明日、土俵に上がったら、親子の縁を切る。　見るだけなら、かまわない。
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　西ーーッ、千鳥ヶ浜！ 千鳥ヶ浜！　東ーーッ、花筏！ 花筏！　両者、土俵に上がる。　可哀想なのは、徳さん。　仕切っているが、力が入らない。　相手は、鬼の形相。　俺は、ここで殺される。　南無阿弥陀仏。　花筏が泣いてる、あ、そうか、遺恨相撲だ、俺は殺されるんだ。　よせば、よかった、両親を不憫に思う。　涙がボロボロ、南無阿弥陀仏！　行司がハッケヨイと、軍配を返した。
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　徳さん両手を前へ出すと、とたんに千鳥ヶ浜は尻餅をつく。　勝ち名乗り、花筏ーーッ！　張るのが、うまいね。　うまいわけだよ、提灯屋さんだ。
&lt;/p&gt;</description>
      <dc:subject>落語</dc:subject>
    </item>
    <item>
      <title>桃月庵白酒の「花筏」前半</title>
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      <pubDate>Sun, 19 Apr 2026 07:45:51 +0900</pubDate>
      <dcterms:modified>2026-04-19T07:46:43+09:00</dcterms:modified>
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      <description>&lt;p&gt;　白酒も、黒紋付の羽織に、クリーム色の着物だった。　少し前、落語教室というところで演ったが、寄席やホール落語と違って、怖い。　聞いても、わからないのではと、司会の人が解説して、「灘の酒と、タダの酒」なんて言ってから、「白酒さん、どうぞ！」　拍子抜けして、やりにくい。　落語は、歌舞伎のイヤホンガイドのようなわけにはいかない。　何も考えずに、ご覧いただくのが一番。　野球の場合、楽しむのは、テレビの方がいい。　細かいところがアップになる、球場ではそうはいかない。
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　相撲、砂かぶりだと、声援も送れない。　枡席が楽しい、飲み食いができる。　隣に誰がいるか、海外の方、枡席に外人4人だと拷問のよう、日本語のできる人だと、色々聞いて来る。　スポーツだが、神事、様式美のようなところもある。　呼び出し、行司、一回呼ばれたのに、なぜもう一度呼ばれるのか。　さらに場内アナウンスもあり、面倒みきれない。　幕内の土俵入り、あれは何をやっているのか。　不条理なことだ、罰ゲームの一種か。
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　朝稽古を見に行ったことがあるが、ぶつかる音が凄い。　あれじゃ、本割で怪我をしますよ。　外人力士、壁みたいのがいる。　序の口には、小学相撲みたいのがいる。　あれでは休場が多くなる。　巡業も全員でなく、部屋ごとにしたらどうか。
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　徳さん、頼みたいことがある。　親方、提灯の注文ですか？　大関の花筏が具合が悪くなった。　千葉の銚子へ巡業に行くのだが、大関の花筏がいないと話にならない。　影武者みたいのがいればいい。　どこかの馬鹿が行ってくれますか。　そう思って来た。　お前さんは、花筏にそっくりだ。　無駄にでっぷり太っていて、ゲジゲジ眉毛に金壺まなこ、鼻の穴が広がっていて、歯並びが悪い。　ダラダラしていて、相撲は取らんでもいい、廻しを締めて、座っているだけでいい。　勘弁して下さい。　食べ物は食い放題、酒は飲み放題だが、どうだ。　提灯を張って、一日、どの位稼ぐ？　　一日一分。　倍の二分出そう。　そんなに…、親方、やりましょうかね。　そんなことは、写真のない昔だからできる。　相撲の吾妻錦絵、デフォルメした方が売れた。
&lt;/p&gt;</description>
      <dc:subject>落語</dc:subject>
    </item>
    <item>
      <title>柳家さん喬の「締め込み」後半</title>
      <link>https://kbaba.asablo.jp/blog/2026/04/18/9849256</link>
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      <pubDate>Sat, 18 Apr 2026 07:19:31 +0900</pubDate>
      <dcterms:modified>2026-04-18T07:20:21+09:00</dcterms:modified>
      <dcterms:created>2026-04-18T07:20:21+09:00</dcterms:created>
      <description>&lt;p&gt;　止めないでくれ、源さん！　夫婦喧嘩は、犬も食わないって。　お前さんも、しつこいよ。　仲裁は、ときの九十九神（つくもがみ）。　お前さん、なんだ、源さんじゃないな、誰？　名のある性質の者じゃない。　でも、止めてくれて、ありがとうござんす。
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　この喧嘩、どういうものか知ってんのか？　そこです。　それが分かれば、収まる。　この風呂敷包みをつくったのは、おかみさんでも、旦那でもない。　そこです。　私が風呂敷包みをつくって、外へ出ようと思ったら、旦那が帰って来た。　台所のあげ板の下、糠味噌桶の脇に潜り込んだ。　おかみさん、糠味噌はときどき掻き回した方がいい。　隠れている頭の上に、鉄瓶がゴロン、ゴロンと転がってきて、お湯がダバ、ダバーッとこぼれた。　辛抱しきれなくなって、出て来て、まあまあと止めました。　お前さん、家に入って来た泥棒か。　お前が、湯でくっちゃべっているから、こういうことになるんだ。　泥棒さんが出て来てくれなければ、夫婦別れするところだった。　お前も泥棒さんに、お礼を申し上げろ。　泥棒さん、よく出て来てくれました。
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　仲が良すぎる、うらやましい。　おかみさんが伊勢屋に行儀見習いでいる時に、お二人は噂になったてんで。　でも、あとで聞いたら、噂なんかなかったとか。　よせよ、余所で言うなよ。　仲間内でも、口が堅いと言われてんで。　一杯やろうじゃないか、お福、支度しろ。　ゆっくりしていきな。　明日になったら、入りやすいところを、二三軒教えてやるから。
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　一杯やって、いい気分になった泥棒が寝込んだ。　暢気なもんだね。　薄い物でも、かけてやんな。　お福、俺たちも寝ようか。　心張棒をかっとけ。　あっ、泥棒が中にいるんだ。　お福、心張棒、外からかっとけ。
&lt;/p&gt;</description>
      <dc:subject>落語</dc:subject>
    </item>
    <item>
      <title>柳家さん喬の「締め込み」前半</title>
      <link>https://kbaba.asablo.jp/blog/2026/04/17/9849018</link>
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      <pubDate>Fri, 17 Apr 2026 07:08:26 +0900</pubDate>
      <dcterms:modified>2026-04-17T07:09:25+09:00</dcterms:modified>
      <dcterms:created>2026-04-17T07:09:25+09:00</dcterms:created>
      <description>&lt;p&gt;　街中を歩いていても、特に何も感じません、と始めた。　外国の方が増えているのは、いいことなんでしょう。　世の中が変わっていく。　寄席でしても失礼に当らない噺がある。　けちん坊の話。　どこへ行く？　寄席へ、笑いに。　金出して、笑うのか、馬鹿だねえ、くすぐってもらえばいい。　ご飯の支度が出来た、前の家で鰻を焼き始めたら、食おう。　今日の匂いは、しょぼいね。　若い衆が、こんにちは。　お勘定を。　一（ひとつ）、一円五十銭、うなぎ嗅ぎ代。　嗅がれると、精（しょう）が抜けるから、タレ二度付けしなければならないんで、嗅ぎ代貰って来いと、主人が言ってます。　一円五十銭、巾着に入れて。　耳、出しな。　音だけ聞いて。
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　泥棒の話も、失礼に当らない。　何、急いでいるんだ？　泥棒を、追いかけてんだ。　泥棒は？　追い越したんで、後から来る。　浅草の観音様、お賽銭を盗んだ泥棒、雷門で仁王に踏みつけられて、ブッ、くせえ野郎だ、仁王か！
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　泥棒、一軒の家に目をつけ、ごめん下さい、お留守ですか！　戸を開けますよ、はばかりじゃねえでしょうね、お留守ですか、七輪に火、湯が沸いているのに。　箪笥を開けて、手早く風呂敷包みをつくる。　チャッチャッチャと雪駄の音がして、亭主が帰って来た。　慌てて、台所のあげ板の下、糠味噌桶の脇に潜り込む。　おっかあ、いま帰ったぞ。　いないのか、湯がチンチン湧いているのに、またどっかでペチャクチャしゃべっているのか。　何だ、この風呂敷包みは。　お福が古着屋から預かりやがったのか。　何だい、半纏だ、質に入れて、流しやがったのか。　いい唐桟だい、色といい、縞といい。　どっかで見たことのある羽織だ。　待てよ、この羽裏、俺の羽織だ。　カカアの着物や帯もある。　何で風呂敷包みになってるんだ。　カカアの野郎、男が出来たんだ。　バッタに売って、逃げようってんだな。
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　おかみさんが、湯から帰る。　おっかさんに、言ってくださいよ。　あっ、そう、あとで伺います。　お前さん、帰っていたの。　お湯屋で、お光さんに会ったのよ。　魚銀に頼んだ魚、脂身が少ないってんだけど。　一杯か、お湯か、どっちにする。　ちょいと、何とか言っておくれよ。　具合が悪いの。　何とか言っておくれよ。　ちょいと、親方、棟梁。　親父が、八は喧嘩しなければ、いい奴なんだがって言ってた。　ベラベラベラベラしゃべりやがって、離縁状書いてやるから、出てけ、出てけ！　俺が何も知らないってんのか。　あっ、そう、出てけって、何で別れなきゃあいけないの。　お湯の帰りが遅いからかい。　まさに判然と言っておくれ。　男が出来やがったんだ、お前に。　男が…、出来たわよ、誰だか知ってんだろ、誰なのよ。　この風呂敷包みを見ろ。　誰なの、その相手、その男ってのは、言っとくれ？　うるせえ、お多福。
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　お多福、お前さん、私が伊勢屋にいた時、何て言った？　飯炊きだ。　行儀見習いに行っていたんだ、お前さん、一番よく知ってる。　私の袖を引っ張ったんじゃないか。　二人が噂になっている、噂通りになろうって言ったのは、お前さんじゃないか。　あとで聞いたら、噂なんかなかった。　お福さんは弁天様だって言ったのに、三年経ったら、お多福かい。　殴れるものなら、ぶってみろ。　旦那が投げた鉄瓶が、おかみさんにぶつからないで、ゴロン、ゴロンと、台所のあげ板に転がって、煮えたぎっているやつが、隠れている泥棒の上で、ダバ、ダバーッとこぼれた。　アッチッチと、飛び出した泥棒が、夫婦喧嘩を止めに入る。
&lt;/p&gt;</description>
      <dc:subject>落語</dc:subject>
    </item>
    <item>
      <title>立川志らくの「百年目」下</title>
      <link>https://kbaba.asablo.jp/blog/2026/04/16/9848793</link>
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      <pubDate>Thu, 16 Apr 2026 07:08:49 +0900</pubDate>
      <dcterms:modified>2026-04-16T07:09:44+09:00</dcterms:modified>
      <dcterms:created>2026-04-16T07:09:44+09:00</dcterms:created>
      <description>&lt;p&gt;　番頭は早く起き出して、店の前を掃き始める。　何ですか、番頭さん、掃除はあたいがいたします。　お前は店で、帳面を付けて…。　旦那が、番頭さんは、どうなさった？　帳場に座っていらっしゃるが、どうも様子がおかしい。　貞吉、番頭さんに、手が空いたら、ちょっと顔を出してと、言っておくれ。
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　番頭さん、旦那様が、手が空いたら、ちょっと顔を出して、と…。　今、すぐ行くって、言っとけ。　旦那様、番頭さん、「今、すぐ行くって、言っとけ」って。　そんなことは言わないだろう。　そう言ったんですよ。　そう言ったとしてもだ、お前は「ただいま参りますと申し上げてくれ」と言わなければいけない。
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　こっちに入んなさい、座布団を敷いて。　けっこうです。　うちで遠慮をすることはない、遠慮は外でやんなさい。　猿田の隠居に、お茶を習った。　茶を点ててやってみようか。　茶には、濃茶と薄茶がある、耳学問だがね。　お湯が沸くまで、面白い話をしよう。　旦那とか、旦那様とか、言うだろう、あれはどういうワケだか知ってましたか。　南天竺の話だ、栴檀（せんだん）の立派な木があってね、たくさんの人が集まって、その香りを楽しんでいた。　その木の下にはナンエン（南縁）草が生えていたんだが、ある人がそのナンエン草を刈ったら、栴檀が枯れてしまった。　栴檀の落とす露が、肥やしとなって、ナンエン草がはびこる。　そのナンエン草が、栴檀を大きくする。　まあ、人は一人では暮らせない、支え合うんだ。　栴檀の檀と、ナンエン草のナンで、壇ナン、檀那（旦那）という言葉になったんだそうですよ。
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　この店では、私が栴檀の木、お前さんがナンエン草だ。　私はね、お前さんに露を落としたつもりだ。　店へ行くと、お前さんが栴檀、店の者に露を落とす。　無駄かも知れないけれど、お前さんが、露を下ろしてやっておくれ。　行き届きませんで。　お前さんは、行き届き過ぎる、怖すぎる、叱言が多い、私は、無駄という言葉が好きだ。　鯛には、頭と尾があるけれど、頭と尾は食べない。　その無駄があることによって、立派に見える。　無駄があって、それでいいんじゃないか。
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　お前さんが、家へ来たのは十一、葛西から掃除屋の宗助さんが連れて来た。　真っ黒で、面倒を見ると思って使って下さい、という。　覚えが悪くて、お使いに出せば、行くところがわからなくなる、お金を落とす。　寝小便の癖があって、死んだ婆さんが、自分の子どもだと思ってと言って、お灸をすえた。　色が黒いので場所がわからず、お白粉で印をつけて、お灸した。　お前さん、熱い、熱いって、泣いてね。
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　その小僧が、今のお前さんだ。　番頭に上った時は、嬉しかった。　婆さんに見せてやりたかった。　本題に入る。　昨日は、楽しかったでしょう。　お得意様とのお付き合いなら、払い負けしないように。　番頭さん、ゆんべ、寝られたかい。　寝られませんでした。　私も寝られなくてね、帳簿なんか見たこともなかったのを、見させてもらいました。　全部調べさせてもらったが、あんな大遊びをして、これっぽっちも帳簿に穴が空いてなかったのには驚いた。　お前さんは、自分で儲けたお金で遊んでいたんだ。　気がつかなかった。
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　今度こそ約束する。　あと一年、小僧たちを仕付けて下さい。　必ず、店を持たせますから。　お湯が沸いたから、お茶を淹れる。　初めて、やるんだ、美味しいかどうかわからないけれど。　結構な、お手前でございます。　もう、行きなさい。　今度は、粋な踊り、ここで踊って見せて下さいね。　もう一つ、聞きたいことがあった。　昨日、妙なことを言ったね、お久し振りでございます、ご無沙汰を致しておりましてって。　何で、あんなことを言ったんだい。　もう、これが百年目、だと思いました。
&lt;/p&gt;</description>
      <dc:subject>落語</dc:subject>
    </item>
    <item>
      <title>立川志らくの「百年目」中</title>
      <link>https://kbaba.asablo.jp/blog/2026/04/15/9848568</link>
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      <pubDate>Wed, 15 Apr 2026 07:05:10 +0900</pubDate>
      <dcterms:modified>2026-04-15T07:06:26+09:00</dcterms:modified>
      <dcterms:created>2026-04-15T07:06:26+09:00</dcterms:created>
      <description>&lt;p&gt;　番頭は、駄菓子屋の二階に上ると、総桐の箪笥に西陣で誂えた着物などがぎっしり、それに着替えて出かける。　旦那、こっち、こっち！　舟が出る！　忘れてたわけじゃない。　お花見に、向島の土手へ。　障子、開けちゃあ、いけないよ。　花が見えないじゃないですか。　駄目だよ、誰かに見られたら、どうするんだよ。　暑いのなんの、芸者たちが汗になる。　障子、開けなさい。
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　土手は見事な桜だ、みんな上がって、花を見なさい。　旦那は行かないの、一八さん。　顔を見られなければ、いいんでしょう。　扇子を顔にあてて、紐で結んで、格子越しに見ればいい。　これで、お花見ができる。　さすが、一八さん、嬉しい。　自慢の襦袢で、鬼ごっこをする。　捕まえたら、どんぶり鉢二杯飲ますぞ。
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　店の旦那が、医者の玄庵先生と花見に来ていた。　一番いい花見時だね、来年はみんなを連れて来ましょう。　向うから、大勢の芸者、幇間を引き連れて、派手な花見が来るよ。　当人たちは、どんなに楽しいか、どこかの大家の旦那でしょう。　三味線に乗って踊っているのは、お宅の番頭の佐兵衛さんに似てますよ。　番頭にあんなことができるわけがない、今朝も小言で「ゲイシャっていうのは、どんなシャだ、タイコモチっていうのは、焼いて食うのか、煮て食うのか？」って、言っていた。
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　捕まえたぞ！　花奴か、一八か！　酒、二杯飲ますぞ。　顔の扇子をはずす。　アッ、と飛上がって、お久し振りでございます、ご無沙汰を致しておりまして。　と、ひざまずく。　せっかくの着物が大変だ、皆さん…、だいぶ酔っぱらっているようだから、怪我のないように遊んでやって下さい。
　どうしたんですか旦那、座り込んじゃって。　今の品のいいおじいさんは、どなたで？　お店のご主人だ。　旦那の旦那ですか。　一八、財布を預ける。　先に帰る。
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　駄菓子屋に戻って着替えると、一目散で帰って来た。　今、帰りました。　お帰んなさい。　旦那は？　今朝早く玄庵先生と向島へ。　風邪を引いたらしい、先に休むから、旦那様がお帰りになったら、そう言っておくれ。
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　今、帰った。　番頭さんは、どうした。　さっきお帰りになって、風邪を引いたらしいって、二階で寝ています。
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　日が暮れて、ご飯になったが、番頭は誰か食べてくれと、降りてこない。　静まり返って、明日の朝まで、首がつながった。　逃げちゃおうか、着物を沢山着込んで、達磨みたいになって。　初犯だから、許してもらえるだろうか。　着物を着たり、脱いだりしている。　このまま逃げ出したら、人の道に外れる、と思う。　夢の中で、貞吉が、両方の鼻の穴に、火箸を突っ込んで、チリン、チリンとやっている。　まんじりともしない。
&lt;/p&gt;</description>
      <dc:subject>落語</dc:subject>
    </item>
    <item>
      <title>立川志らくの「百年目」上</title>
      <link>https://kbaba.asablo.jp/blog/2026/04/14/9848332</link>
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      <pubDate>Tue, 14 Apr 2026 07:03:06 +0900</pubDate>
      <dcterms:modified>2026-04-14T07:05:46+09:00</dcterms:modified>
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      <description>&lt;p&gt;　お茶が出ている。　立川志らく、テレビのコメンテーターで見たことはあるが、眼鏡なしの落語を聴くのは初めてだ。　黒紋付の羽織に、クリーム色の着物。　近頃、パワハラが問題になるが、驚かない、と始めた。　立川談志のパワハラ、夜中の11時、弟子に、肉屋のコロッケが食いてえ、と。　破門されるから、肉屋の戸を叩く。　何です。　コロッケを一つ。　談志の弟子だと言うと、いい肉屋で、ちょっと待ってよ、と言って、コロッケ二つ揚げてくれた。　一つ分の金しか持っていなかったが…。　実話です。
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　一番番頭、力がある。　貞吉、何してる？　両方の鼻の穴に、火箸を突っ込んで、チリン、チリン。　楽しいのか、何かするなら、火箸をはずしておやんなさい。　長松、何やってる？　コヨリ作ってます、今日一日で百本。　いまどのくらいだ？　九十六本、あと九十六本。　まだ四本かい。　今、後ろに何か隠したな。　馬じゃないか。　コヨリで馬を作って、遊んでいるのか。　これ角があるから鹿、馬と鹿を間違えれば、馬鹿。　余計なことを言うな。　孝蔵、手紙を書いてんのか、一昨日頼んだ手紙、出してくれたな？　小僧の手がふさがっていたので、まだです。　お前さん、そんなに偉いのか、一人前なのか。　冗談じゃない、お前は図体がでかいから、上げを下しただけだ。　助造、何読んでるんだ？　読書で。　おちびと（落人）？　おちゅうどです、お軽勘平道行……、清元でございます。　便所で妙な声を出してるのはお前か、空襲警報みたいな声を…。
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　繁造！　おいでなすったか、お叱言なら、さあ、どうぞ。　一昨日の晩、はばかりに何度も起きた。　外から、女の声がした。　ふつうの声じゃない、あれは芸者の声、繁造さんどすえと言った、あれはお前じゃないのか。　あんなに晩くまで。　近所のお湯屋さんに行ったら、田所屋さんの番頭さんにお会いして、おつき合いで、謡の会に参りまして。　謡が済んだ後、お茶屋へ行って、ワッてなことをして。　泣いたのか？　お茶屋へは、お茶を買いにか？　茶葉屋じゃなくて、あのお茶屋、芸者や幇間がいて、どんちゃん騒ぎをする。　ゲイシャっていうのは、どんなシャだ、タイコモチっていうのは、焼いて食うのか、煮て食うのか？　弱ったな。　私に万が一のことがあったら、お前さんが店を束ねるんだよ。　そんなこっちゃいけない、旦那様にお話するよ。　私は、これから番町のお客様の所へ行ってくるから、旦那様には遅くなるかも知れないと、申し上げてくれ。　行ってらっしゃい。　番頭さん、行ってらっしゃい。　行ってらっしゃい。
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　表に出ると、色紋付に真っ赤なステテコ、扇を首にはさんだ、見るからに幇間とわかるのが、追って来た。　旦那！　引っ張るな、誰が見てるか、わからない。　何で店の前を、変な八百屋の恰好をしたりして、うろちょろするんだ。　みんな待ってます、向島へ舟出して、花見をするって。　まり奴姐さんに、声かけなかったんですか？　捨てられたんだ、年だからって、表情で見せた、おかんむりでしたよ。　芸者衆が渦巻いて、大奥のようになっている。
&lt;/p&gt;</description>
      <dc:subject>落語</dc:subject>
    </item>
    <item>
      <title>瀧川鯉昇の「うなぎ屋」</title>
      <link>https://kbaba.asablo.jp/blog/2026/04/13/9848119</link>
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      <pubDate>Mon, 13 Apr 2026 07:00:39 +0900</pubDate>
      <dcterms:modified>2026-04-13T07:01:40+09:00</dcterms:modified>
      <dcterms:created>2026-04-13T07:01:40+09:00</dcterms:created>
      <description>&lt;p&gt;　しばらく無言で座っている。　陽気の変り目に付いていけなくなった、と感じてから五十年。　三十年ぐらい前に初めて健診を受けた。　最近の健診、頭のてっぺんから足の先まで、午前中に数時間で終わる。　コンピューターが現れて変わったんだそうで、聞くと、もとになる考え方が違うという。　二進法。　もともとニシンは、北海道。　沖縄が、サンシン。　インターンは、予診。　藪医者は、誤診。　皮膚科は、発疹。　心臓には、救心。　健診は、９時から始まって、昼前に終わり、昼飯が出る。　お銚子はナシ。　検査結果もあらかた出ている。　楽屋の裏付けのない会話によると、頭の中に何もないと、病院の裏庭が映るんだそうで。
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　いろいろと細かい規則が変る。　「違法ではないが、不適切」というのがある。　例えば、お賽銭を上げないで、お願いする。　落語を聞いても笑わない。　寄席の出番は10分ぐらいなのに、その疲れを癒すのに、赤ちょうちんで7,8時間かかる。　「違法ではないが、不適切」。
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　ごめん、こっち向いてんのか、裏側だと思ってたよ。　竹、暇か、浅草へ出掛けよう。　寿司屋通り、両側寿司屋ばかりだ。　寿司は、どうかね。　俺の大好物だ。　そうか、好きなことがわかるだけでいい。　映画館が、ずらっと並んでる。　六区の映画街だ。　映画は、向こうのものと、こっちのもの、どっちがいい？　　こっちのものがいい。　同じ考えだな、向こうのものは、絵をみていると字が読めない。　今日は、観ない。　トンカツ屋、洋食屋、おでん屋もあるな。　観音様の前に出た。　お賽銭を上げろ。　その間に、「家内安全、健康第一！」　人形焼き屋だ、雷門に出た。　電気ブランや、ビールもあるな。　吾妻橋のたもとで付き合え、便所だ。
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　腹ごなしに、歩こう。　食うとか、飲むとか、しないのか？　飲みたいなら、橋の下へ行って飲んで来い。　「隅田川」という名の酒だと思って。　五杯飲んで、ドボン！ と落ちた。　おわい舟が、助けてくれた。　臭かった。
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　飲んでもらわないと、きまりが悪い。　隣町のうなぎ屋、胡瓜の漬物が旨い。　二本目も、五本目まで出る。　うなぎは、どうだ。　うなぎは元気だが、長く修業をしたさばく職人が外出中でして。　オヤジは、どうだ？　私でも何とかなる、うなぎが二匹いる。　赤くて☓、赤十字のマーク。　患ってるんじゃないか。　夏バテで、十日前に脳溢血で。　向うに、じっとしてる奴は？　貼り紙に、「観賞用」としてある。　捕まらないんで。　俺がやるよ、急所を知ってる。　ビリビリッと来たぞ、電気うなぎか、これ。　豊洲じゃなくて、秋葉原から来てるんで。
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　ザルでしゃくってるぞ、道具に頼ればいいんだ、救いの神だ。　（扇子でしゃくう）、何、踊ってんだ。　羽織を脱いで、畳んで、懐に入れ、うなぎに糠をどっさりかけて、うなぎをつかもうとするんだが、指先から抜け出す指を、次から次へと追いかけて、座布団を降り、高座を降りて、とうとう舞台から、姿を消した。
&lt;/p&gt;</description>
      <dc:subject>落語</dc:subject>
    </item>
    <item>
      <title>雷門音助の「高砂や」</title>
      <link>https://kbaba.asablo.jp/blog/2026/04/12/9847919</link>
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      <pubDate>Sun, 12 Apr 2026 07:42:14 +0900</pubDate>
      <dcterms:modified>2026-04-12T07:47:22+09:00</dcterms:modified>
      <dcterms:created>2026-04-12T07:47:22+09:00</dcterms:created>
      <description>&lt;p&gt;　こいつ、だれ？　と、お思いでしょう。　雷門音助、二ツ目、雷門助六の弟子、落語芸術協会所属。　前座を4年やって二ツ目、都合14,5年で、5月1日雷門五郎で真打に昇進する。　顔と、名前を二つ、覚えてもらいたい。　「五郎」の字の書き方を説明しなかったので、プログラムの長井好弘さんの「当世噺家気質」で知った。
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　江東区の学童向け、小学1～6年生、60名ほどの多目的ホールで話をした。　いきなり噺に入ると、パニックになるので、頭で落語の解説をする。　話を聞いて、自分の頭の中でイメージをふくらませるのだと。　それから、落ちの説明をする。　小咄で。　「鳩が何か落としたね」「フーン！」、「隣の空き地に囲いができたよ」「ヘーイ！」　おぼえた人、誰か、座布団に座って、やって下さい。　3年生の男の子が上がって来た。　「鳩が何か落としたね」「ヘーイ！」
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　付け焼刃は剥げやすい、という。　隠居さん、大変だ、大変だ。　八っつあん、何だい。　千葉県で、牛が卵を産んだ。　牛が卵を産むものか。　牛が卵をふんだ、鶏小屋で。　そして、言った、こんな黄身の悪いことはねえ。
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　仲裁頼まれた、婚礼の。　それ、仲人だろう。　表通りの伊勢屋の婚礼。　おかしいな、伊勢屋といえば大家だ。　伊勢屋の裏の空き地に、大旦那の隠居所を建てることになって、大工のあっしが若旦那と一緒に木口を見に行った。　その材木屋の娘が、いい女で、若旦那が一目惚れした。　つがいになる橋渡しをしたんで、大旦那に頼まれたという訳で。
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　それで、かかあが隠居に紋付き羽織袴を借りて来いってんだ。　婆さん、紋付きを出してやれ。　その箪笥の一番下じゃなくて、一番上の畳紙（たとう）に包んであるのが、いい。　よく知ってるな。　さっき、二人がいない時に、見た。
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　礼儀作法は、わかるのか。　かかあは、行儀見習いをしていたころに、二三度見たことがあるそうだ。　ご祝儀に、謡、「高砂や」を唄う。　朝潮のいた？　それは、高砂部屋だ。　婆さん、洋箪笥から白扇を出してやれ。　姿勢を正して、目が肝心だ、まなこだ。　「♪高砂や　この浦舟に　帆を上げて」。　恥を知らねえのは、恐ろしい。　真似してみろ。　「♪タカタカタカ、タカタカタカ、タカッタ、タカッタ！」　相撲から離れなさい。　「♪タカタカタカ、タカタカタカ！」　それじゃあ、蛙だよ。　「♪ターッ、ターッ、ターッ！」　お話中の電話だ。　お婆さん、逃げることはない。
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　頭のてっぺんから声を出さないで、下腹に力を入れて、声を出すんだ。　「♪清水港の次郎長は……」　それは浪花節だ。　人の真似はうまい、ラッパの豆腐屋なんか、「トーーフィーー、トーーフィーー！」っと。　うまい。　「トーーフィーー、トーーフィーー、ナマアゲ、ガンモドキ！」　その調子で、「高砂や」とやれ。　「トーーフィーー、高砂やーー、この浦舟にィーー、ガンモドキ、帆を上げてェーー」。　いいじゃないか、その後は親類の方がやって下さる。　新しい履物はあるのか。　ゴムの長靴がある。　婆さん、新しい履物を貸してやりなさい。　そう思って、裸足でやって来た。
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;お仲人の八五郎さんが、ご祝儀をつけて下さる。　一つ、よろしくお願い致します。　（高い声で）「タカサゴヤー」。　調子調べで、「トーーフィー」。　お戯れを。　「高砂やーー、この浦舟にィーー、帆を上げてェーー」。　「高砂やーー、この浦舟にィーー、帆を上げてェーー」。　どうぞ、お先を。　親類の方がやって下さるんでは？　親類一同、不調法でして、お仲人さん、お続けを。　いんちきだ。　やれば、いいんだよ、どうぞ、お先を。　「高砂やーー、この浦舟にィーー、帆を上げてェーー」。　上げっぱなしで。　「高砂やーー、この浦舟にィーー、帆を下げてェーー」。　下げちゃあ、駄目ですよ。　風がない。　「高砂やーー、この浦舟にィーー、帆をまた上げてェーー」。　泣いてないで、どうぞお先を。　「高砂やーー、この浦舟にィーー、トーーフィー、ウゥッ、助け舟ェー！！」
&lt;/p&gt;</description>
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      <title>三代目桂南光襲名披露口上で、師弟ともに泣く</title>
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      <pubDate>Sat, 11 Apr 2026 07:21:09 +0900</pubDate>
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      <description>&lt;p&gt;　桂南光は最初、大師匠の桂米朝に「べかこ」という名前をつけてもらった。　米朝門下には「ざこば」兄さんがいる。　べかこが、内弟子を終えて初めての大みそか、西成の近所に住んでいたんで、ご飯を食べに行くと、出稼ぎの人らで、えらいにぎわっていた。　みんな仲間同士。　でも、こっちはたった一人、アルミ鍋の鍋焼きうどんをつつきながらテレビで紅白歌合戦を見て、「俺はもうこんな人生を選んでしまってんから」って。　噺家としてやっていこうなんて気はまったく起きず、気付いたら涙が流れていた、という。
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　いまみたいに簡単にバイトも探せない、ほんとに金がなかった。　ある時、ざこば兄さん（当時は朝丸）が「べかちゃん、お前、お金あんのんか」と聞いてきて、「ありますけど」って強がったら、「いやいや、顔見たらわかんねん。俺もなかったからな」って5千円とか1万円を貸してくれはった。　営業に行って何万円かもらった時に「とりあえず1万円返します」って言ったら、「そんなお前、水くさいことすな。貸したんちゃうからな」って。　噺家の世界っちゅうのはええもんやなあって思った。
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　でも、ざこば兄さんの襲名披露のとき、舞台の口上でその話をしたら、「いま俺、金無いから返してくれ」って。
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　南光になる時も、楽屋で桂米朝師匠が「おまはんも、いつまでもべかこっていう名前嫌やろ」って。　あなたがつけた名前で、あのとき私がどんだけ嫌やったか、とは言われへんから、「べかこで皆さんに顔や名前を覚えてもろたんで、もうべかこで結構です」って答えた。　そやけど米朝師匠は「そこそこやってきたら、襲名というものをせなあかんから」と。　うちの師匠枝雀も同意されたので、襲名することになった。
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　初め、決めかけた名が、萬（よろず）に光ると書いて「萬光（まんこう）」だった。　二代目が明治の噺家で、うちの師匠も「こんなええ名前はないで。それで行こう」と乗り気だった。　ところが、出演していたNHK「バラエテイー生活小百科」のプロデューサーが、番組で笑福亭仁鶴師匠が「萬光」「萬光」と呼ぶことになるので、考え直してほしいって。　うちの師匠が米朝師匠に相談して、「全国ネットのテレビか。それはちょっと具合悪いなあ」と、別の名前を探すことになった。　よう調べたら初代萬光の弟子に初代南光という人がいて、二代目が安政元（1854）年生まれやから世間の人は誰も知らん。　うちの師匠は「南に光る、明るいし、ええやないか」と、私より襲名を喜んでくれた。
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　平成5（1993）年11月23日、三代目桂南光襲名披露落語会が大阪の旧サンケイホールで開催された。　口上で、うちの師匠桂枝雀が涙ぐみながら、「この男がなかったら、いまの自分もないような気がします」とおっしゃって、あれにはびっくりした。　20年以上の付き合いやし、最初に病気になられた時も、別に励ますわけやないけど、ずっとそばにおりましたからね。　「やっぱりこの人の弟子になってよかったな」ってほんまに思いました。　もちろん私も泣いてましたけどね。
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　襲名の場で「ちりとてちん」を披露した。　一番愛着のあるネタだ。　20代後半の頃、初代桂春団治のレコードにあるこの噺を、師匠が「近ごろ誰もやらんなあ。やったらどうや」って。　知ったかぶりの男が、腐った豆腐を長崎名物の「ちりとてちん」だと言われて、知ってますと強がって、食べて困るっていう滑稽噺だ。　噺の中に、誕生祝いの席でタイの刺身の後にサバのきずしが出てくる。　師匠に「魚ばかりやのうて、きずしの代りに、私の好きな茶碗蒸しとかはどうですか」と相談したら、即座に「茶碗蒸しええな」って。　うちの師匠はたいがいなんも考えんと返事しはるんですわ。
&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　この「ちりとてちん」は、師匠と二人で相談しながら作り上げていったネタで、「茶碗蒸し、初めてでございます」って大げさに言ったり、アドリブから「銀杏（ぎんなん）って、どんなん、こんなん」っていうギャグがうまれたりした。　そして、茶碗蒸しのくだりは、上方落語で幅広く採用されるようになった。
&lt;/p&gt;</description>
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