鯉昇「茶の湯」の新機軸2007/06/04 07:02

 鯉昇は、「茶の湯」で二つの新機軸を打ち出した(私の知っている範囲での話 だが)。 一つは、青ぎな粉だけでは泡が立たず、泡を立てるために入れるもの を、いきなり「中性洗剤」と言ったのだ。 それから「椋(むく)の皮」、当時 の洗剤と説明した。 それを煮えたぎった釜の中に入れたからたまらない、泡 がブクブク立って、そこらじゅうに飛んだ。 小僧の貞がしゃぼん玉の歌を歌 おうとして、昨日寄席で白けたばかりだから、やめた、というのが可笑しかっ た。

 もう一つの新機軸は、「茶の湯」と「三軒長屋」を合体させたことだ。 根岸 の里(昔は閑静だったが、今は噺家の住む下品な土地柄だと言う)の隠宅に住 まうことになった蔵前の大旦那である隠居は、同時に新しく孫店(まごだな) である「三軒長屋」の家主にもなったのだった。 そこには鳶の頭、手習いの 先生、豆腐屋が住む。 その連中が茶の湯に呼ばれたために、よんどころない 事情で引越の準備を始める騒ぎになる。

 鯉昇の「茶の湯」、マクラもふくめ、とても楽しく、傑作な一席になった。