桂吉坊の「幸助餅」前半2026/09/06 07:25

 見台と膝隠しを置いて登場の、緑色の着物と羽織の桂吉坊、この会はアウェーの感じがする、ああいう大阪弁は腹が立つ、と笑う。 ご贔屓は有難い。 最近は、推し活、積極的に活動する人は、半分以上の興行に通われるそうで。 大阪の芝居は、二か月変わらんことがある。 寄席の興行は一週間、木曜になると、噺家が飽きる、というのに。

 相撲も贔屓が多い。 大阪場所はチケットが取れない。 相撲は、一番に命を懸けている。 噺家を26年やっているが、命を懸けているのを、見たことがない。 こちらは、そんなに重くなくてもいい。 相撲の贔屓は、お金もいる。 大黒屋幸助という餅米問屋、若旦那が親の金を使い果たして、とうとう店を潰してしまった。 新町の三つ扇屋の女将が、三十両お貸し申し上げます、これは妹のお袖ちゃんが、身を売ってこしらえたお金、三年年季で店には出さず、私の妹分として身の回りの世話をしてもらう、万一返さなければ、鬼になって店に出す、と。 相済まんことです、もう一度大黒屋を立て直すため、相撲を忘れて励みます。

 店の若い者が、大門までお供します、と。 (ボーーン!と、鳴り物が入り、)生来の相撲好き、雷(いかずち)五郎吉が贔屓で、出世していく、勝ち祝い、験直しと大金を出していた、三年前江戸へ修業に行ったが、あとの祭り、ノコッタ!のは借金だけで、浴びせ倒された。 思い出すのは、浦風との一番、びっしりの見物人だった。 雷が下手を取って押した、浦風は右上手をつかんで土俵際まで寄る。 雷は、腰が強い。 店の若い者が、わたいを投げ飛ばしてどうします、と。 もう、大門が見えてきた。 サイナラ、ごめん! ボーーン!

 その声は、大黒屋の旦那さんでは? お前は、雷、何でここにいる、夕立、暗闇も、一緒か、大阪に帰ってきたのか。 百三十里の道を帰って来ました、三年ご無沙汰しましたが、江戸の相撲で大関になって参りました。 よくやった。 雷は、日本一の相撲取だと思っている、よくやった。 お店に伺いましたが、店も人も様変わりで。 広い所に、宿替えしたんだ。 来月十日から、大阪本場所が始まります。 そうか、何も出来んが、ここに三十両ある。 御無用になさいませ。 祝儀だ。 それでは有難く頂戴いたします。 御寮さん、妹御さんは、お達者で? 達者にしているよ。

 わし、何をしたんだ? しもうた、どないしょ、家にも帰られへん。 (心配した女房が迎えに出ていて、)お咲か。 あんた、どないしたん。 三つ扇屋の女将さん、お金を貸してくれはったんでしょ。 家へ帰りましょ。 帰られへん。 お金どないしたん、盗られたんか。 渡した。 誰に? 雷に。 ただのお金と、違いますよ。 会うてしもうたんや、雷に。 何で渡したんや、返してくれと言いなさい。 そんなことしたら、男が廃る。