欧州と日本のパートナーシップ、学生へのメッセージ2025/11/16 07:38

慶應義塾での、ウルズラ・フォン・デア・ライエンEU委員長のスピーチの続き。

 私は、「独立」とは何かという点について、そして、それが欧州や日本のような密接な友人たちとのパートナーシップにとって何を意味するのかを明らかにしておきたいと思う。 「独立」とは、その本質において、私たち自身の未来を選び取る自由と能力を持つことであり、それは依存関係を断ち、脆弱性を補うことだ。 そして独立が内向きの戦略であるという誤った通説、あるいは、自らの内への退却だという通説を払拭したいと思う。 まさに、欧州と日本のパートナーシップが適切な事例である。 私たちは地理的に離れ、異なる課題に直面していても、対応すべき脅威は多く、そして共通している。 欧州と日本はともに、保護主義の衝動が台頭し、弱点が武器化され、あらゆる依存性が悪用される場として周囲の世界を見ている。 したがって、二つの志を同じくするパートナーが互いに強くするために団結するのは当然のことだ。 私たち自身の独立を築くだけでなく、互いの独立を強めるためなのだ。

 例えば不公正な競争に直面し、私たちはサプライチェーンを強靭化するために経済安全保障で協調している。 それによって重要物資で不足することのないよう、欧州と日本は「競争力アライアンス」を構築し、供給源を多様化することで、単独のアクターが私たちの手を縛ることを阻止する。 私たちは互いの安全保障に投資することで、抑止の信頼度を上げ、安定を持続させる。 さらに、クリーン・テクノロジーやデジタル・イノベーションといった取り組みでも協力することで、価値と利害を共有するパートナーによる未来が構築されるだろう。

 重要なのは、未来が不確かな時に内向きになりたがる本能に抵抗することだ。 壁を高くし、心を閉ざすということに私たちは抗うのだ。 それが間違った選択だからだ。 他者と協力することが強さの証だ。 それが私たち自身の独立を構築する方法だ。

 例えば貿易においては、より強固な基盤の上に米国との貿易関係を構築しようとしている。 しかし世界貿易の87%は米国以外の国との間で行われていることも私たちは知っており、その多くの国々が安定と成長の機会を求めている。 今回私が日本を訪問しているのも、まさにそのような関係を深めるためだ。 世界中の国々――インド、インドネシア、南米、韓国、カナダ、ニュージーランドなど――が欧州と協力を求めている。 これは、そのような国の一部でしかない。

 要するに、私たちは皆、それぞれの強さと独立を追い求めているのだが、しかし、協力することによって初めて、その強さと独立を実現できるのだ。

 ウルズラ・フォン・デア・ライエンEU委員長は、(初めに書いた)自分の経歴とEUのパンデミック対応を述べた後、最後に慶應義塾大学の学生の皆さんに伝えたいメッセージとして、こう述べた。 世界のあらゆる地域から集まった人々に囲まれたこのような大学では、皆さんの行動が自身の内輪の枠をはるかに超えるということを理解しているはずだ。 あなたの気候変動の研究が訪れたこともない海沿いの町を守るかもしれない。 あなたの生物医学の発見が遠い大陸の患者に影響するかもしれない。 それこそがグローバル・コミュニティの一員であるということだ。 皆さんが他者のために責任を果たす時、他者もまた皆さんのために責任を果たしてくれるのだ。

 これが欧州と日本の物語であり、福沢諭吉が世界に残したメッセージである。 そしてこの大学の学生一人ひとりが、これからの人生の新しい章を歩む際に胸に刻むべき物語だ。

 この栄誉に心から感謝します。 慶應義塾大学よ、永遠なれ。 欧州と日本のパートナーシップと友情よ、永遠なれ。