柳亭市馬の「二番煎じ」前半2025/12/13 07:15

 昔の火消、纏を振って、家を壊す。 そんなもんで、消えるものじゃない。 竜吐水というポンプがあった、やっているのを見たら、隠居のおしっこみたい。 消防が発達して、火事の夫婦が、東京はいけない、田舎へ行ってやろう、と話していた。 子供が出て来て、ボヤも行くよ。 ドカンと受けなくてもいい、ジワジワもいい。

 火の用心に、町内で番太郎というのを雇っていたが、食いつぶしのおじいさんで役に立たない。 町内の主(あるじ)が順番に出て回ろうということになった。 拍子木、鳴子、金棒、提灯を持って。 自警団。 それを、回っているかどうか見守る役人もいる。

 黒川先生、何です月番さん。 ちょっと考えたんですが、半分に分けて、一の組と二の組にすれば、寒さもくたびれも半分になる。 大宮さんの言う通りだ、そうしよう。 黒川先生、惣助さん、浪花屋さん、金久さん、行ってらっしゃい、ごゆっくり!

 冷えますねえ、一国一城の主が回って、奉公人は白河夜船だ。 鳴子が鳴らないね。 黒川先生、拍子木は? 袖の中で、コツン、コツン。 浪花屋さん、金棒は? 金棒は冷たい、紐を帯に結んで、引きずっている。 ズルズル、コツン、ポシャン! 水たまりだ。 足元が暗い、宗助さん、提灯はどうした? 寒いんで、股倉にはさんでる。 危ないね。 黒川先生、謡の先生だから、火の用心の掛け声を願います。 (謡の調子で、朗々と)「火の用心、火の回り」。 これは駄目だ、浪花屋さん、やって下さい。 (浪花節で)「十八番広沢虎造、火の用心、ヨーー、もしも火などを出したなら、自分一人の難儀じゃない、町内みんなのーーーッ」。 金久さんは…。 若い時、吉原の鳶頭のところで厄介になっていて、やったことがある。 刺し子の印半纏でね、ちょいと形がいいんで、女が放っとかない。 ♪火の用心、さっしゃりやしょう! お二階の回りやしょう! こっちへ上っておくれ、一服、おつけなさい。 煙管の雨が降るようだ。 ♪火の用心、さっしゃりやしょう! 今朝の寒さで、勘ぐりかーーッ。 ちょいと、金久さん、番小屋を通り越しているよ。

 二の組と交代だ。 行ってらっしゃーーい! ごゆっくり!

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