柳家権太楼の「猫と金魚」2025/12/15 07:09

 こんなに元気になりました。 11月の寄席も、(上中下)各席で五日ぐらい出ました。 落語やらせてもらって、幸せ。(拍手) 受ける受けないは、どうでもいい。 今日は「猫と金魚」、その前は「代書屋」、そして「ぜんざい公社」。 私の体を考えて、プロデューサーがやってくれというんですが、もう少し大きなネタもやりたい。

 「猫と金魚」は、初代柳家権太楼の得意ネタだった。 私は三代目だが、本当は二代目で、初代が湯河原の宿屋の旦那に二代目柳家権太楼を売っちゃった。 襲名する時、師匠の小さんに、宿屋の旦那の弟のところへ行って、株を買ってこいと言われた。 三十万円。 初代の遺族、北村さんにも三十万円、まだ二ッ目だから、大変だった。 小さんは、これを出して上げるとは言わなかった。 私が亡くなったら、六十万円。

 はなは、初代のファンが「猫と金魚」のレコードや本を下さった。 正直言って、合わねえ、受けねえ、と思った。 「反対俥」など、生きのいいものをやっていたから。 噺が出来たのが昭和12年、二・二六事件と同じ頃で、時代がちょっと古い。 間、ギャグ、など。 そういうつもりで、時代を連想しながら、聴いてもらいたい。

 番頭さん、こっちへ来ておくれ。 言いにくいんだが、このところ、金魚がちょいちょい、いなくなる。 私は食べてません。 隣の猫が、金魚を食う。 隣の猫と私が、怪しい関係だって、言うんですか。 お隣に文句は言えないんですか。 金魚が、お隣の猫を食ったら困る……、例えばの話だが。

 雪が降りそうな日、金魚も寒そうだと言ったら、お前さん、金魚鉢にお湯を入れた。 あれから、金魚は赤くなりました。

 金魚を高い所に載せてもらいたい。 高い所って、お湯屋の煙突に載せて、双眼鏡で見ようってんですか。 私しゃあ、山本五十六じゃない。 湯殿の棚の上だよ。 番頭、金魚、どうした? 縁側で、ピチャピチャ遊んでます。 金魚鉢はどうした? 利発な番頭ですから、湯殿の棚の上に置きました。 金魚を入れなくてどうする。 そうですか、常識ある番頭ですから、そうしたら、心臓がドキンとしました。 窓が開いている。 手を突っ込んでいるのは、隣の猫に違いない。 どうして追っ払ってくれないんだ。 命令がないと、追っ払えない。 お暇を頂いて、信州で豆腐屋を継ぐ。 「ちはやふる」か。

 鳶頭の虎さんを連れて来い。 小僧が呼んで来た。 上り竜、下り竜の彫り物のある虎さん、ゆっくり梯子を北海道。 命令を、旦那のためなら、鰻、銭、を頂けるなら、怖いものがない、牛、馬、猪、猿…。 干支じゃない。 隣の猫、とっ捕まえて、鼻づらを二つ三つ叩いてもらいたい。 猫の二千匹や三千匹、若い者五六人呼んで、足場を組んで。 あの猫か、憎らしい顔をしてる。 やい猫、やいこの野郎! ドボン、鳶頭の虎さん、湯殿に追っこった。 助けて! 誰か、助けて! 番頭、虎さんを引っ張り上げろ。 虎さん、ずぶ濡れ。

 旦那が、どうした虎さん? 猫と戦って、股倉の玉を齧られた。 玉、半分、手でつかんだから、カカアの所へ持ってってもらいたい。 見せろ、それ金魚じゃないか、そんなに握ったら死んじゃうよ。 早く、猫を捕まえてくれ。 猫は、怖いから嫌です。 猫が怖いって、お前さん、虎さんじゃないか。 名前は虎ですが、今はご覧の通り、濡れネズミで。 研究会のネタじゃない。