法律で「禁書を禁止」、「読む自由」を保障する ― 2026/09/16 07:11

 しかしアメリカには「禁書を禁止する」州もある。 「読む自由」を保障するのだ。 その前に、昨日出てきた図書館の蔵書についての異議申立制度を説明する。 司書が専門的観点からもう一度、本を評価する。 その結果に申請者が納得しなければ、次は図書館の理事会が審議する。 理事会は自由に傍聴でき、40人ほどが座れる部屋で開かれる。 4名ほどの図書館理事は、地域住民の選挙で選ばれる。

 さて、2022年6月、イリノイ州最大の都市シカゴに隣接する人口1万3千人余りのリンカーンウッドの公共図書館での、「読み聞かせの会」が、地域全体を揺るがす大騒動になった。 毎回テーマを決めて、定期的に開かれている会だが、そのときのテーマは「LGBTQへの理解」で、ドラッグクイーンが主人公の本だった。 読み聞かせの後、保護者の一部から「このテーマだと知っていたら、自分の子どもは参加させなかった」という声が上がり、議論が一気に広がった。

 異議申立制度によって、理事会での審議となったが、約80人が詰めかけ、怒鳴りあいの大混乱となった。 最後は警察が呼ばれて強制終了となり、改めて地域のホールで議論され、結局、蔵書として維持されることになった。 しかし騒動はこれで終わらなかった。 図書館には抗議の電話やメールが次々と届き、放火予告まであった。 23年に地域住民の選挙による図書館理事の改選があった。 定数の倍の8人が立候補、半分が「読む自由」を掲げ、もう半分が「本の制限」を主張した。 結果は、「読む自由」を掲げた4人が当選した。

 理事を務めるシェリ・ドニガーは言う、「私は40年間、ここに住んでいるが、前代未聞の選挙だった。地域の議論は急速に静かになった。選挙で示された方向性を住民は受け入れた。反対派も以前と同じように図書館を利用している。それが民主主義だと思う」と。

 イリノイ州は23年、「読む自由」を保障する法律を作った。 「禁書を認めない」という方針を掲げた図書館だけが、州の補助金を受けられることになった。 同じような法律は民主党の強い他の州にも広がり、ミネソタ州では24年に成立した。 禁書を禁じることを明文化し、この法に従った司書を保護する規定も盛り込んだ。 ミネソタ州の立法の中心となった州下院議員、セドリック・フレイジャー(47)は「禁書で特に標的になったのは、LGBTQや黒人、ラテン系、つまり白人やヨーロッパ系ではない人々の歴史や経験を扱った本だった。これらの人々の視点や歴史を、教育の場から消そうという動きだった」という。

 これを読んで、14日に挙げた「禁書」リストに、「ONE PIECE」、「ジョジョの奇妙な冒険」、「進撃の巨人」、村上春樹の本が入っている理由がわかった。

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