よりよい文明を探求する ― 2005/06/29 06:34
八木紀一郎京大教授が「福澤諭吉における経済の定則と開化」で、「開化」と いうのは、レジュメだと「経済論をこえて―開化への道」となる。 八木教授 は、それを三本柱で説明した。 (1)「之を知る者は之を好む者に若かず」、(2) 「造化と争う」、(3)単線的文明論。
(1)「知る」よりも「好き」が大事。 物好きだから、いろいろ工夫もし、損 得も度外視してやる。 学問もそういうものではないか。 「人文技芸の進歩 は大抵皆この好事に依頼せざるものなし」(『民間経済録二編』岩波選集(4)62-63 頁)
(2) 「造化と争う」自然科学の発達は、天然の力をわが範囲に篭絡した。 人 事についても、その働きとその働きの原因とを探索して、そうすることができ る。(『概略』172-173頁) 事物の謎を解く探究心。 オプティミスティック。
(3) 単線的文明論。 「人の精神の発達するは限あることなし、造化の仕掛に は定則あらざるはなし。無限の精神を以て有定の理を窮め、遂には有形無形の 別なく天地間の事物を悉皆人の精神の内に包羅して洩すものなきに至るべし。 この一段に至ては、何ぞまた区々の智徳を弁じてその界を争うに足らん。あた かも人天並立の有様なり。天下後世、必ずその日あるべし。」(『概略』164頁) 近年発見された「『概略』のプラン」(『福澤諭吉年鑑18』1991)にも、「西洋も 文明なり、日本も文明なり。唯西洋は日本より更に文明にして、日本は蝦夷よ りも更に文明と云ふまでの事なり。故に後世人智の進歩に従ひ、今の西洋をも 野蛮と視る可きに至るかも計り難し。唯今の世の人智にて進たる所を以て論ず れば、西洋の文明を最上のものと云ふ可し。」とある。
なお八木教授の引用した『文明論之概略』の頁数だが、昨日の分を含め、利 用しやすい岩波文庫本だと、つぎのようになる。 247頁→215-216頁、118 頁→103-104頁、88頁→77-78頁、98頁→87頁、172-173頁→151-152頁、 164頁→143頁。
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