『八月の砲声』、戦争の危険性2008/09/14 06:39

 「戦争」の章の3冊は、バーバラ・タックマン、山室まりや訳『八月の砲声』 (筑摩学芸文庫)、長谷川毅『暗闘 スターリン、トルーマンと日本降伏』(中央 公論新社)、劉傑・三谷博・楊大慶編『国境を越える歴史認識』(東京大学出版 会)。

 第一次世界大戦を扱ったタックマンの『八月の砲声』、佐伯さんの内容紹介を 読んでいて、先日のロシアとグルジアの戦争、新冷戦への移行、さらに大きな 戦争の危険性について、考えざるを得なかった。 バルカン紛争とサラエヴォ 事件が第一次大戦のきっかけになった。 バルカン半島は「世界の火薬庫」と いわれたが、黒海を挟んだ旧ソ連の地域も今日の火薬庫と化している。

ドイツの戦争計画はシュリーフェン計画というものだった。 アルザス-ロ レーヌにフランスの築いた要塞を避け、中立国のベルギーを通って、50万位の 大軍で一気にパリを突こうとする。 二正面作戦はまずいから、ロシアの態勢 が整う前にという思惑だった。

 いったん戦闘が始まると、事態は軍人たちにどんどん引きずられていくもの だ。 初めの頃は戦闘隊形や戦い方が旧態依然で、1メートルに5人ずつ配置 し、横隊にずっーと並べて、後退せずに戦えというのが当時の常識で、機関銃 に目茶苦茶にやられてしまう。 それで塹壕を掘って、戦線の「膠着と停滞」 の時期となる。 次に一つの戦闘で何十万人も戦死傷する「大量殺戮」の時期 が来る。 戦車や飛行機も使われるようになる。 アメリカが参戦して、最終 的には物量の違いが仏、英、米の連合国側に有利となり、弾も食料もなくなっ たドイツが息を切らして敗戦となる。

 石井さんが、日本の大陸侵略はまったくシュリーフェン計画の焼き直しみた いなもので、四ヶ月で片づけるつもりだったから、長期持久戦になると、もう だめ、ドイツは150万の動員をしたのに、日本は6万人、この本は日本の敗戦 を予告したようなものだと指摘している。