三笑亭夢吉の「思い出」前半2013/10/05 06:28

 アジアの近代化から突然、落語で恐縮だが、これが当日記特有のバランス感 覚とでも言おうか。 9月30日は第543回のTBS落語研究会だった。 543 を12で割ると、45年で余りが出る。 我ながら、よく通って、ご苦労な事だ。

「思い出」   三笑亭 夢吉

「あたま山」  立川 生志

「品川心中」  柳家 小満ん

     仲入

「天狗裁き」  柳家 さん喬

「お初徳兵衛」 五街道 雲助

三笑亭夢吉2008年8月の「狸賽」を褒め、2010年5月には余り演じられな いから面白くないのが常識の損な噺「よいよい蕎麦」を演った。 今回も、損 な珍しい噺なのだが、結論を先に言えば、面白く聴いたから、進歩の跡がある ということだろう。

「思い出」なんて噺、わけがわからないだろう、と白の粗い縞の着物に、黒 の紋付の羽織で始める。 この噺を教えてくれた噺家が、浅草の古着屋で羽織 をみたら、物がよくて、一番安い、サイズもぴったり、新品同様のがあった。  喜んで買って、店を出ると、すれちがう人が、みな避ける。 浅草演芸ホール に着いたら、それを着て歩いて来たのか、と驚かれた。 山口組の紋だった。

汗まみれの古着屋の上総屋が古着を買いに来て、その家の奥さんに羽織を脱 げといわれ、畳もうとすると、そのままで結構です、と。 奥さんは、若い時 分のお召を出す。 薄色で、派手な柄が結構、手入れもいい。 見積もりは5 円50銭。 奥さんは8円位かと。 上総屋は、6円の品だが、2銭銅貨くらい のシミが50銭。 いろいろと思い出がある、結婚当時、亡くなった主人と、 これを着て歌舞伎座へ行った。 先代の歌右衛門に梅幸。 主人の知人が、「ヨ ーヨーヨー」と言って、主人の頭をポンと叩いた、「二号か、三号か、四号か」。  薄色だけど、派手な柄だったものでね。 何で、本妻と言ってくださらなかっ たんです。 それで今度の休みに、箱根へでも行こうということになった。 当 時だから国府津乗り換えで汽車で行って、旅館で出た天婦羅に醤油をかけた時 の、シミ、その思い出の品で。 新婚当初の思い出の品、6円で引き取りまし ょう。