白井ゼミから都倉武之さんの福澤研究センターへ2025/08/21 07:13

 白井厚先生追悼が載った『三田評論』8・9月号は、特集が「戦争を語り継ぐ」で、都倉武之福澤研究センター教授は、「慶應義塾史における戦争研究の課題と可能性」という一文を寄せている。 その冒頭は「白井ゼミからの継承」だ。 慶應義塾における戦争期の調査の先駆者は、1991(平成3)年にゼミ生と共に共同研究「太平洋戦争と慶應義塾」を開始され、以後ライフワークとされた経済学部の白井厚名誉教授であることは論を俟たない。 白井調査の金字塔は2,200名以上の慶應義塾関係戦没者の存在を実名で詳細に明らかにした、他に例を見ない徹底した戦没者名簿の作成、そして戦争体験世代の塾員に一斉発送した空前の規模のアンケートの実施による戦時中の慶應義塾の実態調査などに代表される。

 学徒出陣70年といわれた2013年、慶應義塾史のアーカイブとしての福澤研究センターに、特攻で戦死した塾員の遺族から、戦争期の調査を目的としての多額寄付があり、これを機会に都倉さんは「慶應義塾と戦争」アーカイブ・プロジェクトを開始した。 まず、白井先生を訪ね、数千通のアンケートの個票原本を始め調査資料を受け継ぐとともに、白井調査を補完するために、この時点からやって価値のあることを四つ見定めた。 (1)一次資料の収集。戦争期の塾生塾員の様子を伝える生の資料は当時は福澤研究センターにほとんど収蔵されていなかったので、手紙、日記、写真、使用品などの実物資料を収集保管して、ある程度の密度のある資料群を形成することを目指す。 (2)まだできる戦争体験者の聞き取り調査を実施し記録を残す。 (3)学内資料を集計して、学徒出陣期の統計データを明らかにする。 (4)これらの活動成果を展示公開することでこの分野の研究の発展を図る。

 以後、十数年の歳月を経て、収集資料は他大学に類を見ない厚みを持ったと自負できる規模になった。 さまざまな展示の機会を設け、2021年の慶應義塾塾史展示館開館によって、常設展示にも戦争コーナーを設けることが出来た。 聞き取りは百名規模で実施ができ、統計テータの解析は様々な資料的限界が判明しつつ、今も継続している。 現在では、慶應義塾関係戦没者の数は、2,231名が確認されているという。

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