『昭和元禄落語心中』菊比古の「迷路」に光2025/09/24 07:16

 今月初め9月1日~3日に書いた、テレビドラマ『昭和元禄落語心中』の第3話「迷路」。 昭和25年10月、菊比古(岡田将生)は師匠の七代目有楽亭八雲(平田満)に内緒で銀座のレストランでアルバイトをしている。 いい男なので、女の客が来る。 二ツ目途中で助六を襲名した初太郎(山崎育三郎)は、寄席で「夢金」などを演り、たちまち客をつかんで、すごい拍手を受けているのに、菊比古は真面目に師の型を演って、まったく受けないのを、悩んでいる。 そうした菊比古の高座を、七代目が満州で縁のあった芸者のみよ吉(大政絢)がじっと見つめていた。

 菊比古は、助六の初太郎と比べられるたびに、落ち込む。 師匠は、真面目過ぎる、スキがねえ、色気がない、愛嬌が必要だ、たまには馬鹿になって遊べ、と言う。 助六は菊比古に、自分の落語を見つけろと言い、遊びに連れて行ってやると、みよ吉のところへ行く。 師匠と満州で知り合って、芸者をしている。 満州は地獄だった、師匠と離れ離れになって、大連で再会したら、横に女がいた。 師匠に見られたら、大変だけれど、いっそ二人で殺されちゃうか。

 みよ吉は、菊比古に踊りを教えてくれといい、小唄を習っていたと、菊比古に三味線を弾かせる。 そうこうする内に、男と女の仲になる。

 菊比古は助六に、お前の物差しでしか見られない、私に落語は向いていないのかもしれない。 何のため、誰のためにやるのか、私の居る場所はここでないかもしれない。 初(助六)にかなわねえ、差が埋まらねえ、と言う。 助六は、自分の居場所は、自分で作るしかない、と言う。

 二ツ目だけの鹿芝居「弁天娘女男白浪」をやることになった。 それをみよ吉は、置屋の娘・お栄(酒井美紀)に教わる、七代目とおかみさんには内緒だと…。 菊比古は、その芝居で女形の弁天小僧を演じて、客の喝采を受ける。 それを見た助六は、客の顔がよかった、満州の兵隊さんの顔だった、俺は人のために落語をやるんだ、と言う。

 鹿芝居の女形で何かをつかみ、その後、「品川心中」で、移り替えの出来ないお染を演った菊比古を、師匠は「菊は化けたようだ」と言う。