桂九ノ一の「狸の化寺」2026/05/11 07:11

 桂九ノ一、2024年1月に「時うどん」、去年7月に「軽石屁」を聴いている。 声を出して笑って下さい、鼻で笑わないで、と。 妙齢の美女が現れるかと期待されたでしょうが、野球部の補欠みたいな男が出てきまして、上方は人間国宝(国宝もだいぶ薄れましたが)米朝一門、桂枝雀の弟子の九雀の一番弟子で、九ノ一。

 昔、黒鍬組という力自慢の集団があって、土木工事や農作業を請け負っていた。 村の庄屋に頼まれて、棟梁の火の玉の龍五郎が挨拶に来る。 大水で狐川の堤が崩れたのを修理する。 七日もあれば出来るが、雨もあるので十日みてくれ。 頭を入れて三十人、泊まる所は? 分宿になる。 皆を目の届くところに置きたい、広い所はないか。 化け寺ならある、十年無住、妙なものが棲んでいるらしい。 入る人を見たことがあるが、出て来る人を見たことがない。 そこに泊めていただいて、正体を見届けることにしたい。

 山門が、デェーーンと。 入ると、夏草がびっしり。 刈った、刈った、刈った!(鳴り物が入る) ザックッ、ザックッ、ザックッ! 草を刈ったら、ゴロリ、何かある。 草刈ったら、臭かった。 本堂の掃除だ。 えらいホコリだ。 阿弥陀様を叩いたら、ホコリで、アミダが出た。 風呂、飯を、一通り済ませて、布団を敷く。 丸太を枕にして、いざという時は、丸太を叩いて起こす。 頭は、起きていて、化け物の正体を見届けることに。 寝ずの番だ。 さすが、上に立つ人は、違うな。 ボケ! 煙草を喫って起きている人と、寝ている人の、どちらが先に食い易い? どういうことだ。 命が惜しかったら、寝ていられない。 お頭に代わってもらおう。 龍五郎、グーーッと、寝る。

 再び起きた龍五郎、煙管でプカプカやっていると、阿弥陀様の横から、十五、六の娘が現れた。 龍五郎、道中差しを抜いて、斬りかかる。 狸だ! 仏壇に逃げ込んだ。 阿弥陀様の数が、昼間は三体だったのが、四体になっている。 燻り出せ、かんてき(七厘)を扇いで。 扇げ! 食いついて来ないか? 竹やん、扇げ! 断ち物をしている。 何の? 仏壇の前で、かんてきを扇ぐ。 梅やん、扇げ! 駄目だ、出来ない、親の遺言で。

 わしがやろう。 これは動かない。 次へ移ろう。 穴を変えた。 三つ目も、何ともない。 こいつに決まっている、燻べ出すんだ。 阿弥陀がニコニコ、ハックション! 大きな狸だ。 太い柱を、駆け上って、見えなくなった。

 見上げると、一同の頭の上で、大勢の天人が、羽衣で舞っている。 「教わった通り、やってます」と、両袖を持って、ヒラヒラと扇ぐように、「天人の舞い」を踊る。 得物を持って、刺す。 明日の朝は、狸汁だな。 明日の朝は、天ぷらだよ。 見てみい、あの通り、衣をつけている。