隅田川馬石の「鮑熨斗」前半2026/05/12 07:05

 「鮑熨斗」は人気の落語で、寄席でも一度は出ると、黒の羽織を脱ぐ。 薄緑の着物で、今日は下げまで申し上げるのでお楽しみに、と。 お腹の空いた甚兵衛さんに、女房が、山田さんで50銭借りた、地主さんのところで婚礼があるので、魚屋で尾頭付きを買って、これは長屋の連中が少しずつ出し合って来る、つなぎのほかだからって、お祝いに行けば、1円になる、山田さんに50銭返して、50銭でおまんまが食べられる、と言われる。 尾頭付き? ドイツ語か。 そうじゃない、頭と尾っぽのついた魚。

 尾頭付きを下さい。 甚兵衛さん、テエだ。 テエ、中に、アンコ入ってんの。 安くするよ、大勉強して5円でどうだ。 高い。 懐具合と相談して、言ってみろ。 あい、50銭。 どんとくるねえ、腹割って話をしよう。 地主さんのところへ持ってくんで。 長屋のつなぎのほかだってやつだな。 いいのがある、鮑が三杯。 のしの鮑だ。 一杯20銭、三杯で60銭だが、10銭まけてやる、これ、持ってけ。 値切るのが、いやなたちだ。 親方、これ、60銭で引き取ってくれるか。 バタッ! テエのほかに、頭ついてるのないの、この店であと頭ついてるの、親方と小僧だけだ。

 おっかあ、魚屋で鮑三杯買って来た。 鮑かい、でも、のしの根本は鮑熨斗だからね、お祝いの口上を教えるから、しっかり言ってもらいたい。 改まった挨拶だ、今日はけっこうなお天気でございます、と入る。 承りますれば、今晩は当家の若旦那様が、お嫁御さまをお迎えだそうで。 ウケ、ウケ、ウケ、ウウウウ! 息が、洩っているよ、鼻から洩る。 オヨヨヨ、オヨヨヨメゴ…。 まあ、愛嬌で、たどりついて、くれるよ。 ここが大事だ、いずれ長屋からつなぎが参りますが、これはつなぎのほかでございます、と。 お腹、ペコペコなんだ、1円もらってきておくれ。

 1円もらうぞ、こんちは! こんちは、けっこうなお天気で。 ありがとう、ありがとう、甚兵衛さん、お祝いに来てくれたのか。 キョロ、キョロ。 今度は、甚兵衛さんの番じゃないのか? ワーーーッ! と、前へ出る。

ウケ、ウケ、ウケ、ウケタマ、ウケタマ、ウケタマ、ウウウウ! 承りますれば、じゃないのか。 それです、今晩は、当家のバカ旦那さまが…。 エッ。 オヨヨヨ、オヨヨヨメゴで、察して下さい。 カカアが来ますね、ここからが本番で、いずれ長屋から来ますね。 何が? 長屋の連中が少しずつ出し合って来る、つなぎのほかでございます。 わかりましたか、お返しの1円下さい。

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