ロナルド・ドーア「100年インタビュー」 ― 2010/11/12 07:00
落語研究会へ行った前日の10月28日夜、まだ日本シリーズも始まっておら ず、見るテレビがなく、偶然回したNHKハイビジョンで素晴らしい番組を見 た。 プレミアム8、ロナルド・ドーアさんの「100年インタビュー」(聞き手・ 三宅民夫アナ)。 85歳になるドーアさんは、イギリス人の政治経済学者(初 めは社会学)で、日本語はぺらぺら、60年にわたって日本社会を見つめ続けて きており、きわめて明晰、最近の事情まで実に詳しい。 私自身が生きて来た 時代を分析して明快に提示されると、なるほどと納得するところが多かった。 日本の将来についても、独自の意見が開陳されて、勉強になった。
戦後まもない1950(昭和25)年、東大に留学したドーアさんは、当時の日 本が生き生きしていた、という。 ベビー・ブームだった下町・池之端花園町 の落語の長屋のような所に住み、山梨の農村に農地改革の調査に出かけ、「持ち つ持たれつ」の共同体的つながりの精神に触れる。 共同体意識は、下町の町 会の集まりなどで観察され、農村にはなおさら強くあった。 階級社会である イギリスの、労働者階級(の良い方、蒸気機関車の運転士)の家(家で取るデ ーリー・ヘラルドと、上流階級が取るタイムズとの間には、雲泥の差)の出身 で、軍の通訳になるために一年半日本語を集中的に勉強、「戦争成金」という言 葉があるが自分は「戦争成学」だ、と。 1955(昭和30)年、イギリス国際 問題研究所の調査で二度目の来日、農地改革の結果調査に金を出してくれたの は、当時は冷戦で日本がどちらにつくか、農村の貧しさがその原因となるとい う仮説があって、共産革命の可能性を探るためだった。 スクーターを買って 走り回り、五右衛門風呂に入った。 向こう三軒両隣、上の家、下の家、「持ち つ持たれつ」の、共同体的つながりの社会は、民主化の基礎である個人主義的 社会と対極にあるものだった。
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