本井英主宰の「自他半」、『俳句日記2020 二十三世』から2025/08/12 07:03

 本井英主宰ご自身の「自他半」の俳句は、どうなのだろう。 コロナウイルスの騒ぎが始まった2020年の一年間、ふらんす堂のホームページに連載された「俳句日記」をまとめた『俳句日記2020 二十三世』(ふらんす堂)という句集がある。 書名「二十三世」は、その前年8月、元禄の大淀三千風から数えて二十三代目の「大磯鴫立庵」の庵主に就任されたことに因む。 『二十三世』については、「等々力短信」第1149号 2021(令和3).11.25.に「本井英俳句日記2020『二十三世』」を綴った。

 その『二十三世』から、「自他半」の句を拾ってみるのだが、これが、なかなか難しい。 あらためて、先生が『虚子五句集』や四Sの第一句集から「自他半」の句を数えられたことの大変さを味わった。 素人判定で、エイヤッと数えて24句、閏年で366日だから、約6.6%になる。

 【1・2月】<三千風も立ち寄られかし初懐紙>…2月2日、本井英先生の鴫立庵主就任を記念して、「初懐紙」(年頭の連句)が巻かれた。 <春雪にぐづぐづ濡れて零の忌を>杉本零(ゼロ)さんは、先生の俳句修業の「兄ちゃん」だった、とある。

 【3・4・5月】<先生が若くて好きで青き踏む>…季題は踏青、春、青草をふんで野山を散歩すること。 <土筆摘むことをことさら好まれし>…3月3日、星野立子の忌日、「雛の忌」とも呼ぶ。 <フランスの木の芽美しとは虚子が>…昭和11年、虚子はフランス滞在を中心とする約120日のヨーロッパ旅行をした。 <耕人や声の届かぬほど遠く>…季題は耕(たがやし)、畑の土を鋤かえし柔らかくすること。 <この娘香水がやや大人びて>…季題=香水。 <母の日のがらんと人の居ない街>…季題=母の日。 <網戸ごしの隣のボーズ声変り>…季題=網戸。 <ビアガーデンのカップル星に近しよと>…季題=ビール。

 【6・7・8月】<緑蔭の四五人が手を振りくるる>…季題は緑蔭、俳句吟行途中の景だろうか。 <柚の花といへば時彦大人想ふ>…季題は柚の花、「時彦大人」は草間時彦さん、大磯鴫立庵第二十一世庵主。 <サングラスして妻に娘に恐がられ>…季題=サングラス。 <良くできし妻夏痩もせざるなり>季題=夏痩。 <その人や露台にひとり立たせたく>…季題は露台、虚子の『椿子物語』のモデル、千原叡子さんが亡くなった、虚子がさらに一歩遠のいた虚しさを感じる、とある。 <先生の裸や書斎より来られ>…季題=裸。 <稲妻が走るたび顔見合はせて>…季題=稲妻。

 【9・10・11月】<先着の六人を追ふ花野かな>…季題は花野、これも俳句の吟行だろうか。 <行秋を突然訪ねくるる人>…季題=行秋。 <スパッツのお尻美し玉子酒>…季題は玉子酒、どなたのお尻なのか、説明はない。

 【12月】<湯冷めして母にかはりて聞く話>…季題は湯ざめ、長々と話をするのは、親戚のおじさんか誰かか。 <水洟をすすりつつ只聴くばかり>…季題は水洟、朝礼で校長先生のお説教は長いのだ。 <人待ちて朝のストーブ火がをどる>…季題はストーブ、「自他半」か迷ったが、人を待っているのは、作者自身と考えた。 <ことしまた受験生たり褞袍着て>…季題は褞袍(どてら)、息子さんは一旦入った大学を辞めて、医学部に入り直し、医者になったと、聞いた。いろいろ大変だったろう。

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