柳家権太楼の「宿屋の仇討」前半 ― 2026/06/05 07:21
長いこと、落語研究会に出させてもらっているが、袖で前座、お囃子、TBSのスタッフが、大笑いしていた。 これじゃあ、木馬館と同じ。 元へ、戻そう。 「旅人はゆき呉竹の群雀 泊まりては立ち 泊まりては立ち」。 以前は、熱海の駅など降りると、旅館の番頭が大勢、客待ちをしていた。 お泊りさんではございませんか、大黒屋金兵衛でございます。 お武家様。 万事世話九郎と申す。 店の若い者で。 若い者というが、禿げておるな。 名は、伊八と申します。 そのほうか、鶏の生き血を尻から吸うというのは。 それは、イタチで。 昨夜は相州小田原の浪花屋という宿に泊まりし所、巡礼が御詠歌を唄うやら、駆け落ち者がいちゃいちゃするやら、有象無象が夜っぴて寝かしおらん、間狭な部屋でもよいから、もそっと静かな部屋を頼む。 これは、取っておけ。 お武家様だ、八番の角部屋へ。
俺たちは、江戸の者だ、「シジュウサン人連れ」、泊めてもらうぞ。 おまんまを、どんどん炊け。 風呂は、大きい方を、用意しろ。 お三人さんは、宿取りで? お笠を拝借して、後から来る人が、お入りになる目印にします。 何かの、まじないか? あと四十名様が、いらっしゃるので。 俺たちは、始終、三人組なんだ。 おまんま、もう炊いちゃったか。 風呂は、ふつうの方に。 これは、内緒話で。 七番の部屋へ、ご案内を。
番頭、名前は何という。 伊八です。 お前か、おまんまを入れとくのは。 それは、御鉢で。 湯から上がったら、ワッと騒ぎたい、芸者を三人、生け捕ってもらいたい。 酒は浴びるほど飲む、勘定はいくら安くってもかまわない。 黄色い声で、こんばんは! こんばんは! こんばんは! 都々逸の廻しっこをしよう。 ♪沖の暗いのに,白帆が見える、カッポレ、カッポレ、ヨーイトナァー、と踊り出す。 素っ裸になって相撲甚句、三人で大騒ぎ。 ジャンケン、ポン、あっち向いて、ホイ!
パンパンと手を叩き、伊八、伊八! お呼びでございますか。 何だ、隣の騒ぎは。 最前も申したが、昨夜は相州小田原の浪花屋という宿に泊まりし所、巡礼が御詠歌を唄うやら、駆け落ち者がいちゃいちゃするやら、有象無象が夜っぴて寝かしおらん、間狭な部屋でもよいからもそっと静かな部屋を頼む、と。 部屋を変えるか、隣を静めて来るか、返答をもらいたい。
すみません。 おー、伊八か、一緒に裸になって踊れ。 もう少々静かに、騒いでいただきたい。 隣の客がうるさくて眠れない、と申されてまして。 一晩中、騒ぐよ、何様だと思ってるんだ。 実は、タダ者じゃない、二本差してる。 リャンコか。 人斬り包丁を持っている。 芸者を、誰が呼んだんだ。 寝よう、寝よう、蒲団敷け。 巴寝、祭の太鼓みたいに、頭を付きあわせて、寝るんだ。 旅の土産になる、後々面白がって話すことになる。
江戸へ帰ると、相撲が始まる。 上方から、坊さん辞めて相撲になったのが来る、名前が「捨て衣」てんだ。 低く当って、前へ出る。 頭をつけたら、土俵を割る。 どっこい、どっこい、よいしょ、よいしょ! 仕方話は、よせ。 じゃあ、ちゃんと、やろう。 はっけよい、残った! 残った! バリバリ! 勝負あった。 もう、一丁。
伊八、伊八! もそっと、中へ入れ。 隣の騒ぎは、何だ。 案内された折、一朱下げ渡したな。 返します。
伊八か、相撲だ、裸になれ。 実は、隣のお客様が……。 寝ます、寝ます。
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