桂九ノ一の「軽石屁」2025/07/17 07:08

 渋谷句会の翌日、7月11日は第685回の落語研究会、夕方からだから荒天も収まっていた。 桂九ノ一は、米朝一門、桂枝雀の弟子・九雀の一番弟子だから、九ノ一。 別嬪が出て来るかと思われたお客様は残念、野球部のマネージャーみたいな顔の男が出て来て…。 人間国宝の米朝からは曾孫弟子、「国宝」もだいぶ薄まっている。

 「軽石屁」かるいしべえ、5人ぐらいしか演る人のいない、ほろんでる噺で。 喜六と清八が、伊勢参りから、近江八景へ回ろうと、鈴鹿の峠にかかる。 道を稼ぐのに山道を行き、喜六は足が痛い、休もうと言い出す。 茶店があって、お婆がいる、ぶぶをお一つ。 あんさん、足下手とは珍しい。 草鞋に足を食われてるんや。 喜いやん、駕籠を一丁、頼んで来い、土山の宿まで、足元を見られるから、足が痛いと言うな。

 土山まで駕籠を頼みたい、足は痛くないけれど。 お客さん、足の痛そうな恰好をしてて、嘘の付けぬ人やな。 おーい、茶店へ戻れ。 駕籠屋さん、あいつはアホや。 そうらしい。 駕籠代はいくらだ? 一分。 二朱でどうだ。 とても、とても。 三朱は? それでは、三朱で。

 お連れさんの駕籠は、どうします。 いらない、あれは奉公人だ。 あなた、旦那さんですか。 江戸の越後屋だ。 はて、大阪弁だったけれど。 駕籠賃は、供の者から受け取ってくれ。 もし、お供の衆、三朱です。 旦那さんのお荷物を、と受け取り、アイコラ、ホイと、出発する。 もう一丁は? 断ったよ。

 茶店も、俺が払うのか。 土山までなら、お地蔵さんから一本道があるよ、街道を行くより近い。 清やんの駕籠の、先回りをして、仕返ししよう。 煮売屋で万屋、梅干と軽石五つ、上酒五合を買う。 金鎚を借りて、軽石をつぶし、五合徳利に入れる。 この酒を飲むと、オナラが出て、もがき苦しむ。 いたずら好きなんだ。 糠を入れる袋を使うんだが、五合徳利じゃなくて、一升徳利にするか。 ヒッヒッヒ!

 お供の衆がいます。 えらい早かったな。 近道は、早かったんだ。 駕籠屋、酒はどうだ、飲んでみないか。 湯呑を二つ。 頂戴いたします。 えろう美味い酒だが、口の中で何かモロモロする。 もう一杯。 もう一杯。

 ここで軽石の粉入りの酒でオナラが出る原理を説明します。 軽石は、火山の噴火で、噴き出したのが固まったもの。 それが胃の中で溶けて、ガスになる。

 ヨッ、コラショ! ブーッ! 出来物、腫れ物、処かまいなし。 先棒も、堪忍して、スーーッ! 臭い、臭い、たまらん。 腹が、腹が…。 ハイコラ、ブーッ! ブーッ! ここで、降ろしてくれ。 さよなら、ご勘弁を、ブーッ! ブーッ!

 清やん、これは俺の趣向や。 当てこすりに、やらしてもらった。 それで、軽石使うたんか。

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