菊比古と「決別」した助六はみよ吉と田舎へ ― 2025/10/14 06:58
テレビドラマ『昭和元禄落語心中』の第5話「決別」、9月26日~27日に書いた第4話「破門」の続きだ。 昭和30(1955)年12月、助六(山崎育三郎)が破門されて8か月、菊比古(岡田将生)は助六に、なぜ破門されたか話してくれると思っていた、いったい何があったんだ、どれだけ尻を拭いたか、折れろという。 助六は、坊(菊比古)の落語を、辛気臭いけど、いい、と。 助六に落語を教えた爺は、天狗連(素人落語)から六代目有楽亭八雲に弟子入りした。 その爺が助六と名を書いた扇子を、助六は俺だと思って大事にしろ、と菊比古に渡す。 菊比古は、来月は二人会だから、稽古だけはしとけと言う。
助六は、みよ吉(大政絢)と暮らしている。 菊さんの話、俺の上でしないでくれ。 みよ吉は、私の田舎の温泉街は良い所だから、行かないか、この子(と、腹を撫で)も幸せになる、と。
七代目有楽亭八雲(平田満)のおかみさんが亡くなる。 松田(篠井英介)は、助六師、とうとういらっしゃいませんでしたね。 菊比古には、あんな寂しそうな七代目は見たことない、と。 七代目は、有楽亭の系図を見ていて、菊比古に話す。 初代は寛政、名人ばかり続いてきて、親父の六代目が大きくした。 名跡を受け継ぐには、度量が要る。 家内がいねえと寂しい、お前に八代目を継がせたい。 助六、あの野郎は性根が腐っている。 俺の落語を古臭えと言った、俺の落語を否定したんだ。 どうか、もう一度、助六に落語をやらせてくれませんか。 お前の方がふさわしい。 お前は俺の息子だ。 破門を解いてやって下さい。 お前も、じっくり考えろ。
菊比古は、初、助六の地獄を思い知った、八代目の名前を私に取られると知ったのだ。
お栄(酒井美紀)が菊比古に、おみよちゃん、どこにいるの、お見せのお金を持ち逃げした、菊さんなら知ってるかと思って、と言う。 助六が、日之出荘の前に来て、菊比古に、別れを言いに来た、東京を離れる、子供が出来た、産ませるんだ。 八雲を継ぐんだろ、坊っちゃんだろ。 菊比古は、助六に、この世の中をずっと見てきた、何をしてもいいけど、落語だけは止めるな。 助六は、どうしたらいいか、もう、わからないんだよ、と。 お別れだよ。 菊比古は、私はまた捨てられた、と。
7年後の昭和38(1963)年夏、菊比古は文化芸術大賞を受賞した。 記者会見で、ライバルは助六、と言って驚かれ、あの馬鹿の悪口を言っていいのは私だけだ、と言って席を立つ。 七代目との親子会、菊比古に弟子入り希望者が来るが、芸人なんてなるもんじゃない、こんなアブクみたいな商売を、と断る。
菊比古は、師のもとに来られてよかった。 私はまた、助六に捨てられて一人になった。 「死神」をやって、これでいいのか、ここでいいのか、誰もいない居場所なのか、助六の落語を取り戻さなければならない、と。 協会の会長は、八代目襲名をよく考えておきなさい、と。
菊比古がお栄にみよ吉のことを聞くと、女の子を産んで元気、四国だよ、きっと。 菊比古が、四国の温泉地へ行き、落語をやっている所はないかと訊ねると、「琴南うどん」といううどん屋で、女の子が「野ざらし」をやっていた。 客は聞くのに十円払う。 小夏と名乗った女の子に、父ちゃんの所へ案内させる。 田舎家から、助六が出てくる。 坊、お前さん変わらないな。 二人は抱き合う。 お前さん、相変わらず臭いな。 7年間の時間が、動き出した。
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