元やくざの与太郎、組の親分と対決する ― 2025/10/16 07:14
『昭和元禄落語心中』、第8話「誕生」。 週刊誌に書かれた与太郎、それを機にしてか寄席で「錦の袈裟」をやっても、まるで駄目、受けないので裸になって踊り出す始末。 師匠八雲の座敷も減って、謝りに行く。 八雲は、芸人なんて、見られてなんぼだろ、背中を見せろ、と。 筋彫りだけど、見事な鯉金(金太郎が鯉を抱いている)だ、過去と向き合うんだ、過去を抱えて生きろ、それが人間の業というものだ。 与太郎は、稽古がしたい、と駆け出す。
与太郎の「大工調べ」、大受けで、円屋萬月が「大統領!」と声をかける。 与太郎は、腹の底から声を出せって、入門の時に教わった。 萬月は、小夏の腹の子の父親がわかった、と。 小夏が高校生の頃に不良になり、厄介なもめごとに巻き込まれ、八雲が乗り出して収めてもらった、元の与太郎の親分だ。 箱根で二人は会った。
お栄の料亭。 親分の所へ、小夏がお願いがあって、と来る。 そこへ萬月に話を聞いた与太郎が浴衣のまま飛んで来る。 お栄は、今は駄目と止めるが、座敷へ。 挨拶する与太郎に、親分は、会いたかったよ与太ちゃん、何回か落語を聞きに行った、と。 与太郎は、顔も知らない人の代りにお勤めに行って来いと言われた、あの日以来で、刑務所にいる間に親父が死んだ。 アネさん。 俺たちは結婚します、お腹の子のことをはっきりしてもらいたい。 親分は、与太郎をつかまえて、池に放り込む。 小夏は親分に、与太を許して、と。 死にたい、とも。
池から上がってきた与太郎に、親分は、何でも言ってみろ。 与太郎は、落語の啖呵で、アネさんのお腹の子を、後からくれなんて絶対言わないでもらいたい、てのが俺の言い分で、と滔々と述べて、というのが私の言い分でございます。 親分は、落語の啖呵売りかい、惚れ惚れするような、商売道具を出されちゃあな、精進して来たんだなあ、いい噺家になった。
隣の座敷で一部始終を聞いていた八雲は、親分さんにはまた返しきれない恩をかけちまった、と。 その後、親分は八雲に、さすが与太郎、師匠の一番弟子で。 あの馬鹿ですから、でも自分の落語が見えてきたのかもしれません、弟子ってのは、勝手に育つもんで。
小夏は、与太郎に、あの人には、私が無茶なお願いをしただけなんだ、世の中には、口にしないほうがいいことがある。 本当は、怖いわ。 おいらといれば、大丈夫。 あんたといたら、不幸になると思ったんだ、憐れみ、同情は、勘弁して。 アネさんは、俺にとって大事な人だ。 小夏は、申し出を断る。
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