花緑と「小さんのマクラ」2006/04/03 07:02

 立川志の吉、緊張して出たのは、師匠志の輔譲りかと思ったら、今日の会は 自分を除いて「柳家名人会」で、F1のレースに自転車で参戦したようなものだ、 という。 「子ほめ」、自転車にしては、よくがんばった。 これからが楽しみ。

 花緑、例によって、小さんの話から入る。 食べるのが好き、大食いで、熱 いのが好き。 どんどん食べろといわれて、弟子一同、胃をこわす。 次のタ ーゲットは犬で、犬まで胃をこわす。 そろそろ小さんの話はやめたほうがい いと、私も何度か書いたが、本人も気がついて、途中で「こういう話はお嫌い のようで」とか「こういう話もお嫌いですか」とかいいながら、落語よりも剣 道が好きだった話までやる。 池袋演芸場の杮落とし(改装か)で、居合い抜き をやった、という。 剣道はやらないけれど、小さんのやらなかったダジャレ をやると、花緑が二つ披露した内の一つ。 場所は北海道、後ろ手に縛られて いる綱を、通りすがりに「チョキン」と切って、助けてくれた。 黙って行こ うとするのを、「せめて、お名前だけでも」と尋ねる。 両手の鋏をふりかざし、 「タラバじゃ」。

 「片棒」は赤西屋吝兵衛さんが、金、銀、鉄、三人の息子の誰に身代を譲る か、試しに自分の葬式の出し方を尋ねる噺。 花緑は、テンポもよく、うまい。  次男の銀が、お父っつあんの人形を立てた山車を、神田囃子で送るというあた り、人形振りも、お囃子も、見事なものだった。 その人形が電線に引っかか った恰好も可笑しかった。 本体の噺で、これだけのものがやれるのだから、 小さんのマクラは止めた方がいいと、花緑が生れる前から、小さんを聴いてい たおっさんは、老爺?心ながら思うのであった。