自然との共生を喜び合う ― 2006/04/18 07:11
慶應女子高の「小春会」は十数年の実績があるそうで、句会には舌を巻く巧 い句がいくつもあった。 私は次の5句を選句した。
○還らざる友の碑二つ若葉風
○春昼のベンチに項伸びきらせ
○石畳隙間隙間をいぬふぐり
○学生の歩く速さよ風光る
○学び舎のよき日々のこと鳥雲に
講評で、本井英先生は私の挨拶句に関連して、こういうのがあるのも、俳句 の懐の広いところで、豊穣な俳句の楽しさの一つだと、おっしゃった。 そし て最近、現代俳句協会の新会長になった宇多喜代子さんが、就任の挨拶で「俳 句が三日月湖になるのが心配」と述べたが、「三日月湖」とはうまい表現だとい う話をされた。 『広辞苑』で「三日月湖」を引くと「河跡(かせき)湖」に回 され、「蛇行の甚だしい河川の一部が河道から断たれて生じた湖。三日月形のも のが多い」とある。 俳句が世の中や、文化の流れから取り残される心配をい ったのだろうが、本井先生はもっと楽観的で、俳句には豊かな将来がある、と 言われる。 花鳥諷詠は、自分も自然の一部である人間が、どう地球に住まわ せてもらうか、花鳥の名前と顔を憶え、自然と一緒にいることを楽しむととも に、共に生きてきたことを喜び合うことだ。 俳句は、西洋流のオリジナリテ ィーを出さねばならないのとは、違うのだ、と。
懇親会は浜離宮脇埠頭からマルコ・ポーロ号に乗って、レインボー・ブリッ ジをくぐってお台場に寄り、羽田まで行って、京浜運河を帰って来る2時間の クルーズだった。 明るい内に出て、やがて日が沈み、戻ってきた頃には浜離 宮の八重桜がライトアップされていた。
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