失敗にどう対応するか2006/10/21 07:09

 「だから失敗は起こる」の第七回は「トラブル発生 さあどうする?」だった。  畑村洋太郎さんが、そこで挙げた方法が、昔かじったKJ法によく似ていた。  (1)思考平面図(頭の中にバラバラに浮かんできたものを、ポストイットの メモ用紙に全部書き出す) (2)くくり図(考えの似たものを集める) (3)思考関連図((2)で集めたものを図示して、バラバラに浮かんだものが、 どんな関係になっているか、自分ではっきりと目に見ることができるようにす る。タネとして使えるぞという頭の準備ができる) (4)思考展開図((3) を展開し、解決したい「テーマ」→分析した「課題」→「課題要素」に分解し →「解決方法」をさがし出し→「具体策」をまとめていって→「全体計画」に 描き出す)

 こうすると、自分が頭の中で何を考えているか、考えている事柄がどんな構 造なのか、非常にはっきりと自分で分かる。 よその人がやったのを見れば、 よその人の頭の中も、はっきりと見ることができる。 みんなで一つのテーマ について考えを共有することが出来る。 新しいものを生み出し、みんなで共 有するのに有効な手法である。

 2001年11月12日、素粒子ニュートリノを観測する岐阜県飛騨市のスーパ ーカミオカンデで、突然センサーの6割が破損する事故が発生した。 当時の 施設長戸塚洋二さん(物理学者)は、世界中の研究仲間に「すぐに観測を再開 します。施設を復旧します」という英文メッセージを発信、原因の究明と対策 (責任の追及より先に)に乗り出す。 その情報をホームページ上に公開し、 知識や失敗を世界中の科学者で共有、国も25億円の予算をたてて応援し、2006 年7月には全面復旧を果たした。 畑村洋太郎さんは、戸塚さんが(当人は言 わないけれど)事が起こる前に、そういう仮想演習をやっていたと推測する。  そういう考え方とやり方をしないと、科学の発達がない時代に来ている。 た だの原因の究明と責任の追及だけですませていては、学問が進まない時代が来 ている。 企業、大学、家庭が、失敗にどう対応するか(予防ではなく)、失敗 というものにどう自分が向き合うか、考えることが大事な時期に来ている、と いう。