扇辰の「阿武松」2010/10/05 06:51

 扇辰は出てきて、今日は鈴本での五街道弥助改め蜃気楼龍玉の真打襲 名披露の最終日で、師匠の雲助が口上に出ている。 まだ来てません。  つないでいてくれ、と言われた。 それなのに、持ち時間を7分つめた 人がいる。 誰とはいわないけれど、「短命」演った人です。 それで、 長いです。 ゆっくりしゃべります。

お相撲のお噂ですと、「阿武松(おうのまつ)」に入った。 一人横綱 は寂しい、惜しい人材を失った。 華のある横綱だった、好対照でね、 ヒールは必要で。 乱暴狼藉を働いて、協会を出ていくというのは、他 にもあった…。

 「阿武松」は、大相撲で六代目の横綱、阿武松緑之助となる能登出身 の力士の大器晩成の出世噺だ。 武隈という力士兼親方のところに入門 して、尾車という名をもらうが、オマンマを食い過ぎて暇を出される。  戸田川へ身投げをしようとして、板橋の旅篭立花屋で死ぬ前に一度は腹 一杯と、名主さんへの土産代にもらった一分(半月からひと月泊まれる) で食っているのを、相撲好きの主人善兵衛に、これは相撲向きと認めら れ、根津七軒町の錣(しころ)山親方を紹介されて、出世の糸口をつか む。 農業地帯の板橋、米二俵つけるというのを、錣山は辞退する。 25 歳だった。  小柳長吉の名で昇進、ついに武隈関とのワリが出た。 「おのれ、お まんまのかたき」「まんまならない世の中、こめったことになった」

現在の武隈は元黒姫山(友綱部屋部屋付き親方)、この落語を聴いたら、 あまりいい気分ではないだろう。 尾車は元琴風、 阿武松部屋は野球 賭博問題で騒がれ、親方は元益荒尾。 錣山は元寺尾、こちらは、いい 気持になるだろう。 扇辰は、阿武松の錣山部屋への入門時、酒は酒屋 の前を通っても赤くなり、パチンコもしない、野球賭博などとんでもな い、女はそばによっても吐き気がする、好きなのはただオマンマ、とや っていた。