「船中八策」、龍馬は思想の「つかい手」2010/10/27 07:01

 坂本龍馬は、時代に一歩先んじる視野の持主であり、形式や名分にとらわれ ない自由で町人的な現実志向の態度で、新しい日本を構想した。 龍馬は、ま さに梅棹忠夫さんのいうように、形式や名分にとらわれる思想家ではなく、思 想=「かんがえかた」の「つかい手」であった。

 24日の『龍馬伝』は「船中八策」だった。 「船中八策」は、9月10日の 日記に書いた。 ドラマの龍馬は、中岡慎太郎に独立国としての新しい政(ま つりごと)の仕組・八策を語って聞かせる中で、そのそれぞれを誰に教えても らったかを、語ったのだった。 思想家ではなく、思想の「つかい手」として の面目躍如である。 それぞれの名を《》に書いておく。

一、天下の政権を朝廷に奉還せしめ、政令よろしく朝廷より出ずべき事。《木戸 貫治(桂小五郎、のちの木戸孝允)》

一、上下議政局を設け、議員を置き、万機を参賛せしめ、万機よろしく公論に 決すべき事。《横井小楠の「デモクラチー」》

一、有材の公卿、諸侯および天下の人材を顧問に備え、官爵を賜い、よろしく 従来有名無実の官を除くべき事。《吉田東洋…身分は低くても武市半平太のよう に優れた人材なら参画させる》

一、外国の交際広く公議をとり、新に至当の規約を立つべき事。《高杉晋作》

一、古来の律令を折衷し、新に無窮の大典を選定すべき事。《土佐の河田小龍》

一、海軍よろしく拡張すべき事。《勝麟太郎・海舟》

一、御親兵を置き帝都を守衛せしむべき事。《武市半平太の志》

一、金銀物価よろしく外国と平均の法を設くべき事。《久坂玄瑞》

 そして、誰かが誰かを支配する仕組の中からは、憎しみしか生まれない、上 士も下士もない平らな世の中にすること、憎しみからは何も生まれないと教わ ったのは《母》だった、と言う。