サントリー美術館の開館50周年記念展I2011/04/16 07:01

 3月19日の開催予定だったが、一週間開催を遅らせたサントリー美術館の開 館50周年記念「美を結ぶ。美をひらく。」四つの展覧会の第I「夢に挑むコレ クションの軌跡」を、8日に見て来た(5月22日まで)。 サントリー美術館 は、開館当時の丸の内・パレスビルが当時の職場に近かったこともあって、丸 の内(1961~1975年)時代から、赤坂見附(1975~2004年)、現在の六本木・ 東京ミッドタウン(2007年~)と、よく行く、親しい感じのする美術館の一つ である。 入口に並べてあった丸の内の頃のポスターによれば、当時の入館料 は50円だった。

 今回の「夢に挑むコレクションの軌跡」展は、サントリー美術館のコレクシ ョンを代表する絵画、漆工、陶磁器、ガラスなど自慢の名品を並べ、さらには 初公開の新収蔵品、室町時代の雪舟作品を始め、狩野元信、永徳、山楽の水墨 画、江戸時代の伊藤若冲や丸山応挙の作品を含む「棲鸞園画帖」が展示されて いる。

 自慢の名品の中には、何度か見たことのあるものもあって、サントリー美術 館で教えてもらったことが多いのに、思い至る。 「生活の中の美」というの がサントリー美術館の基本理念だそうだ。 第1章「漆工」には「暮らしに寄 り添う器たち」という副題がついている。 開館後まもなく収蔵したという国 宝「浮線綾螺鈿蒔絵手箱」(鎌倉時代)を始め、硯箱、文台、香合、盆、湯桶、 瓶子など、螺鈿や蒔絵の名品が並ぶ。 第4章「陶磁器の世界」でも、三彩や 色絵などの彩り豊かな皿や器がみられる。 ガラスはサントリー美術館の看板 の一つだ。 「日本のガラス」(第2章)と、「ガレと世紀末のガラス」(第6 章)で展示している。 前者の薩摩切子の名品や乾隆ガラスが、彫刻家朝倉文 夫氏の旧コレクションで、1977年に収蔵されたというのは、初めて知った。 エ ミール・ガレの「かわせみ」「蝶・昼顔」「バッタ」「かげろう」「おだまき」な ど、ジャポニスムの図柄のガラス器を、初めて見て気に入ったのもサントリー 美術館だった、と思う。 琳派と茶道具(第7章)には、尾形乾山の茶碗や蓋 物、汁次、本阿弥光悦・書、俵屋宗達・画の歌巻断簡や和歌色紙がある。

 昨年1月、『おもてなしの美 宴のしつらい』展で見て、31日の<小人閑居 日記>に「確かに見たのだが、リストには見つからない「屁競べ」の絵があっ た。 裸の男たちが、よい音を出すために、それに適したものを食べて、仕込 んでいる図。 英語の説明に“contest of the breaking wind” 平安時代から、 そういうことをやっていたそうだ。」と書いたのが、第3章「屏風と御伽草子」 にあった。 「放屁合戦絵巻」(室町時代・文安6(1449)年)、説明に「男の 陽物の大きさも競った」とあった。