題詠は、景に立ち戻って写生2011/06/14 06:47

 さて「釣堀」と「紫陽花」の句会、わが投句の結果は、どうなったか。 〈釣堀にさなぎの粉の臭ひかな〉を和子さんと耕一さん、〈釣堀の親爺の政治談 義かな〉を善兵衛さん、〈紫陽花は緑色より咲き初むる〉を英主宰、〈紫陽花の かなた波寄す由比ヶ浜〉を英主宰と幸雄さんが、採って下さった。 主宰選が 二句、互選が四票、日頃の成績に比べて、まずまずといったところだった。

 主宰は選評で、〈紫陽花は緑色より咲き初むる〉を、七変化を逆手に取って、 咲き始めの紫陽花が緑色なのに、もう花なのだ、と読んでくださった。 そし て〈紫陽花のかなた波寄す由比ヶ浜〉は最初、どういう角度から見ているかわ からなかったが、よく読むと、極楽寺の山の寺からの景と気付いた、と。 ま さにその通り、〈紫陽花や師弟の僧の植ゑ継ぎて〉とともに、毎年「紫陽花ゼミ」 で通っていた成就院を詠んだものだった。 11日、その「紫陽花ゼミ」を引き 継ぐ「小尾研究会ОB会」が帝国ホテルの東京三田倶楽部であったので、近況 報告で〈紫陽花のかなた波寄す由比ヶ浜〉を披露したのだった。

 総評として、主宰は渋谷句会のような兼題の句会の場合、頭に描いたものを、 いったん忘れて、景に立ち戻って写生してやることが必要だと、おっしゃった。  そうしないと、説明っぽくなる、理屈になる、と。 深見けん二さんにも、「題 詠は写生なんだ」という言葉があるそうだ。

 私の選句した〈紫陽花や今は使はぬインク壺 松子〉〈紫陽花にせばめられた る勝手口 さえ〉の他に、人気のあった句。

釣堀が見えるラッシュのホームより   ひろし

参道をおし狭ばめたる濃紫陽花     和子

あぢちゐのはみ出してゐる小路かな   なな

紫陽花やふたり揃ふて雨女       なな

紫陽花の悄然と日に照らさるる     良