「流域」からの豪雨水害防災・減災 ― 2012/11/22 06:43
岸由二さんは講義を、東日本大震災は、地球環境の長期変動に適応する防災・ 減災体制のない私たちの脆弱な暮しを、白日のもとに晒したと、始めた。 千 年に一度の巨大地震・津波への対応は、ほとんどなかった。 千年、数千年と いう単位で起こっていなかったことが起こっている。 地球に与えてしまった、 つまり自分達が生み出した、未曾有の事態だ。 数万年先と考えられていた氷 河期は来ないのではないか。
暮しの足元をみれば、百年、二百年に一度の豪雨災害への配慮も不要とする 節約主義の世論や政治は、放置されたままだ。 百年から数百年の時間規模を 設定するなら、「流域」という地形構造(=生態系)を介して都市を襲う大豪雨 も、津波同様の巨大災害を引き起こす可能性がある。 温暖化による気候変化 の展望から、この危険はさらに厳しくもなる。 東日本の復興は、津波対応に 限定せず、豪雨水害への防災減策についてもしっかり配慮した、文字通り総合 的な対応が望まれる所以である。
全ての土地は、雨水を集める小さな川、それが集まって出来る大きな川の「流 域」にある。 「流域」とは、降った雨が川に集まる大地の広がり=洪水や自 然生態系の単位だ。 日本は「流域」の国だ。 暮しも、防災も、環境保全も、 「流域」で工夫する必要がある。 小網代の森は浦の川の「流域」だし、ここ 日吉は鶴見川の「流域」だ。 NPO法人鶴見川流域ネットワーキングという活 動を続けてきた。 かつて鶴見川下流は水害の常襲地帯だった。 1980年から 国を中心とした総合的な治水対策が実施された。 丘陵地を開発しない、源流 に保水の森を保全、下流は川幅を広げる河川改修、4,300の調節池に300万ト ンを貯留(慶應日吉も200トンの水、ビオトープに)、新横浜に巨大な多目的 遊水地(スポーツ公園、港北ニュータウン開発)。 それによって、1982年以 降、水害はない。 行政と市民団体のつながりが大事だ。 「流域」思考が、 川を、都市を、地球を再生する。
東日本の復興にも、そういうビジョンが必要である。 日本・東北モデルが 出来ると思っている。 都市再生、流域再生には金がかかるが、予算がない。 企業や投資家の力が必要だ。 そこには仕事がいっぱいくっついている。 北 上の金ヶ崎町でハイブリッドカーの「AQUA」を生産しているトヨタ自動車と 連携して、AQUA SOCIAL FES!!という運動を進めている。
コメントをどうぞ
※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。
※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。
※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。