扇遊の「一分茶番」前半 ― 2014/01/29 06:33
扇遊は出るなり、ナマはいい、このシンとした緊張感はテレビでは出ない。 雰囲気、風、この場の匂いというものがある。 この人、最近、臭いね、とも いうけれど、匂いがある。 すーーっと、落語の世界に入っていただく。 感 化され易い人は、有難い。 『仁義なき戦い』を観た人が、肩を怒らせて、映 画館を出る。 寄席では余りないけれど。
みんなで金を出し合ってやる素人芝居、誰もがいい役をやりたい。 役揉め が起るので、くじ引きにした。 伊勢屋の若旦那はどうした、使いをやると、 急な風邪で出られない、皆様によろしく、と。 仮病だよ、役不足なんだ、稽 古まで付き合って、当日来ないのは困る。 誰かやるものはいないか、飯炊き の権助、あれしかいない。
何でやすか、アンカ用かね。 芝居は出来るか。 出来るか…、かー、かー、 とは人を疑う言葉ではないか。 国へ帰れば、お役者様だ、「ハナデフンチョウ チンブラ」の、高い所できれいなアマッコが鏡を見ているのをやりました。 七 段目、一力の場だ、何をやった。 アマッコガタをやりました。 女形か、よ くやらせたな、勘平の女房、お軽だ。 下新田(しもしんでん)の茂十が由良 之助。 どんな台詞だ? 忘れやしたが、そこにいるのは、お軽でねーーけ。 おらが誰だか、当ててみろ。 権助。 いかにも、ここにいるのは権助だ。 そ こにいるのは、下新田の茂十でねーけ。 こけーこ。 二階からケツまくって、 飛び降りた。 見物が黙ってねえ、アマッコガタのマタグラから、チラッと見 えたもんがある、今年のお軽はオスだんべ。
それだけやれれば、出来るだろう。 小遣いもらって、開けて見ると、一分 入っている。 すみませんね、今日の芝居に出るのかね、何をやる。 『鎌倉 山』、非人の権平だ、宝蔵に忍び込んで、宝物の御鏡(みかがみ)を盗んで来る。 盗っ人け、一分お返しするべ、ワシは正直者の権助で通っているだ。 芝居だ よ、芝居、御鏡も曲げ物に銀紙を貼ったものだ、本当に盗むんじゃない。 一 分、もらっておきます。
台詞は? 恭しく戴いて、「ありがてえ、かっちけねえ、まんまと宝蔵に忍び 込み、奪い取ったるユズリハの御鏡、小藤太さまに差し上げれば、褒美の金は 望み次第。 人目にかからぬその内に、ちっとも早く」と言う。 駄目だ、一 日で覚えられない。 宝物に書いておいてやる。 カナで、お願いします。
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