桃月庵白酒の「付き馬」前半 ― 2025/06/05 07:08
打ち上げには行かない、そちらがメインになっちゃうから。 楽屋で、何分で終わるの兄ちゃん? 30分。 そんなに長いの。 何でもいいよ、と言われても、チャーシューメンでなくラーメンから。 ドンペリでなく…。 師匠の雲助は、わかってない。 焼肉、行こうか、なんて言う。 ステーキ、カルビ、馬鹿な値段、驚くくらいの金額になる。 好きなもんを頼んで、というけれど、名前も知らない。 カード、これで、というと金持という感じ。 真打になるまで、カード作れなかった。 審査に落ちた。 楽天でさえ、落ちた。 カードも、万能じゃない。 月々のお金が、銀行にないと、使えない。 前座さんに、お金貸して、なんて言う。 現金がないと、どうしようもない。 寄席の近くの呑み屋。 どこの弟子? と、聞かれる。 さん喬の…、とかワンクッション置く。 権太楼なんて言わない、ふざけんな、と言われる。 友達が来るまで待つ。 例えば、食事だけじゃ駄目な所、あやしげな店がある、鈴本の裏のあたり、雑居ビルのすべてがそれ、アッと思う。 非常階段を、見ておく。
昔、馬と言った。 馬道という地名があるように、馬に乗って大門まで行けた。 そこで待っている馬子さんに、お金を取りに行ってくれないかと、駄賃をやって頼んだ。 持ち逃げする者が出て、ある時から、若い衆が取りに行くようになった。
いい妓が揃ってます、ご愉快願えませんか。 遊びたいけど、懐がね。 お安くしておきますよ。 ないんだ、お足が。 またまた。 伯母さんが金貸しで、代わりに仲之町の店に金を取りに来た。 取りに行けば金はあるけれど、伯母さんの金だ。 遊びは、間(ま)のもので、遊びたい時に遊びたい。 気持はわかります。 お互い、歩み寄ろうじゃないか。 こちらだけのような気もしますが。 貸していた金を取りに行こう。 ご内所に相談します。 そういうの、いや、じゃあ帰るよ。 とりあえず、登楼(あが)って下さい。 登楼っていいの、登楼るよ。 お登楼りになるよ! 酒、台の物、芸者、幇間をあげドンチャン騒ぎ、たいへんな散財。
お早うございます。 腹蔵なく、遊ばせてもらったよ。 内所もお喜びで。 で、何、お勘定。 一筆書くんだが、印形を忘れた、店はすぐ近くの仲之町だから、付き合ってもらえないかい。 お供します。
朝の吉原、だーーれも、いないよ。 アーーッ、眠ってるんだ、あそこの店、寝てる、寝てる、ぐるっと回ってこよう。 こんなに道、広かったかね。 犬っころが、いますよ。 そうこうする内に、大門、土手に上がろう、いい気持だ。 心が洗われるようだ。 お湯屋だ、ちょいと、つきあってくれないか。 手拭とシャボン、お前さん、立て替えて。
さっぱりしたところで、豆腐屋で一杯やるか。 湯豆腐二人前と、お銚子を二本、付き合いなよ。 すみません。 いい飲みっぷりだ。 なかなか、いいお店だな。 お銚子、十五本並んだところで、八十三銭、お前さん、立て替えて。 ありません。 湯屋で払う時に、後ろに立って、財布の隅に一円札が畳んであるのを見たよ。 お釣りは、いらない。
食後の運動に、ちょいと歩くか。 朝の風千両という、元気を出しなよ。 餃子に、生ビールか、瞬冷式のサーバーがうまい。 藤棚だ、右に曲がると演芸場、白酒は出ていない。 瓜生岩子の銅像、日本のナイチンゲールって云われた人だよ。 人形焼の屋台、いい匂いだ。 元気出しなよ。 観音様、十八間四辺、鳩は平和の象徴だっていうけれど、嫌いだ、目が笑ってる。 餌売りのおばさん、鳩が台に乗ると棒で叩く、鳩で生計立ててるのに。 仁王門だ、みんな仁王に紙つぶてをぶつけてる、股倉を狙って。 人形焼は亀屋が好き、店の横には卵の殻が積んである、商売がうまい、三日分らしい。 紅梅焼は梅林堂、門もないのに雷門、御一新の頃まではあったらしい。 電車通り、ボギー車に乗ってみたい。
あんた、喋り過ぎだ、どこへ行こうってんだ。 お前さん、こわもてになっちゃって、悪い料簡だ。 わかってるよ、勘定だよ。 出来るところを探してる。 田原町に、おじさんがいる。 勘定が揃えば、いいんだろ。
コメントをどうぞ
※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。
※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。
※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。