喬太郎の「小政の生い立ち」前半 ― 2012/02/29 04:33
今は北海道や沖縄の仕事でも、泊りじゃなくて、日帰り。 浜松まで、師匠 のさん喬達と出かけるのに、東京駅のホームで待ち合わせた。 上から下まで ユニクロ、ウェストポーチをつけ、靴はアメ横、池袋演芸場の近くで買った帽 子、カートをガラガラ引いていた。 向こうに気持いいほどの、絵に描いたよ うなチンピラがいて、私服か、鉄道警察官が「ちょっと、いいですか」と声を かけ「荷物を見せてもらいたい」と言った。 わかりやすい反応、「ガワッガガ ガ、ドドドドッド」と、チンピラが怒鳴った。 嬉しい気持で眺めていた。 す ると、別の警察の人が、「ちょっと、いいですか」「荷物を見せてもらいたい」 と。 「そのウェストポーチの中」。 扇子と手拭。 「お仕事は?」 小声で 答える。 「えっ?」 落語家です。 「どうぞ」
よしねえ、小僧(と、天秤棒で叩こうとするのを止める)。 勘弁できねえ、 若林のごろ八、天に代わって誅戮(ちゅうりく)する。 そいつが界隈のならず 者だってぇのはわかるが、塀によりかかってつぶれている時じゃなくて、やる なら素面の時にやれ。 よすよ、止めてくれて、有難う、おいら十四だ、おじ さんたち二人は浜松の人じゃないね。 清水だ。 清水、いいところだってね え。 人、空気、水がいい、自慢できねえのは春風亭昇太がとれた所なぐらい だ。 お伊勢参りの帰りだろう、首から札を下げているからわかる、商売はわ からない。 商売往来に載っていない商売だ。 噺家? 言うに事欠いて、芸 人は人間のクズだ、噺家なんてものは…(心の痛みを感じる、と喬太郎)。 博 打打かい、次郎長親分を知ってるかい、気は優しいが、いずれは街道一の親分 になるって噂だ、子分かい。 そう言われちゃあ、名乗りづらいが、貸本屋の 善さんじゃなくて、俺がその次郎長だ(この場の人はわかるが、テレビを見てい る人は、なんだかわからない)。 そっちの三下奴は? 何を、この野郎! お い、石松、子供に啖呵切っちゃあいけねえ。 親分さん、おいらを子分にして もらいたい。
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