三遊亭萬橘の「孝行糖」 ― 2016/01/25 06:31
落語研究会では、珍しい「三遊亭」、円楽一門会である。 萬橘(まんきつ) は、法政大落研の出身、圓橘に入門して橘つきから、きつつきを名乗っていた という。 「落語の怪人」と称されている。 太い眼鏡にオレンジ色の羽織、 口先でしゃべる。 萬橘は、四代目の名前、きつつきから画数が増えた。 三 年前、真打に昇進した(と言って、反応薄く)、いいんですよ、なかなか憶えて もらえない。 この名前も根付いた感じになってきた、先日、「前の名前は何だ っけ?」と聞かれた。 けれど、その後で、「今、何だっけ?」、油断できない。 初代の萬橘は、ヘラヘラの萬橘、ヘラヘラ踊りで人気が出てきてサ、タメ語、 いいか反萬橘で出来上がっている会だから…、大阪へ移り、大阪から東京へ戻 って来る途中で亡くなった。 二代目は腸チブスで死んで、三代目は、自殺未 遂、それが原因で亡くなった(と、眼鏡を外す。植木等みたいな顔だ)。
5歳と2歳の子供がいるんで、荒川遊園に行った。 同じような家族連れが いた。 母親が怒っている、「頭が悪くて、気分が痛いんだよ」。 喫茶店で、 おばさんが二人いて、何か渡してる。 「いいのよ、そんな心配しなくて、あ せくさい」。 「水臭い」だよね、しっかり自分を持っていないといけない。 新 お茶の水駅で、ケツ下げたズボンのお兄さん、右手にスターバックス持って、 ポシェット下げてる、改札を通るのに、スタバでガシャっとやっちゃった。 胸 のすく思い。 ぼんやりでなく、気を張って生きて頂きたい。
与太郎、一息に馬鹿。 アハハハ、源ちゃん、あたいの顔、赤いだろ。 酒、 飲んだのか。 角の酒屋で手伝って、酒粕もらった、この位の塊二つ。 これ 位の湯呑で二杯キューッとやった、と言うんだ。 おばさん、あたいの顔、赤 いだろ、湯呑でキューッとやった。 お燗したのかい。 焼いて食った。
大家さん、こんなに集まって何です。 与太郎が親孝行のご褒美に、お上か ら青緡(ざし)五貫文を頂いた、使い道を考えてもらいたい。 頭が良くない というより、馬鹿だからな。 頭が良くないというと、大家さんも入っちゃう。 商売をやらせたい、元がかからないのがいい。 落語家。 馬鹿じゃ出来ない ぞ。 有難うございます。 お前に礼を言われることはない。
飴屋はどうだろう、大阪の嵐璃寛と江戸の中村芝翫の人気にあやかり、璃寛 茶と芝翫茶という渋い反物を売り出して当てた人がいたり、鉦と太鼓で璃寛糖 と芝翫糖という飴を売って歩いた飴屋がいた。 その飴屋の売り方をそっくり 頂いて、孝行糖でどうですか。 「昔、昔、唐土の二十四孝のその中で老菜子 (ローライシ)といえる人、親を大事にしようとて、こしらえあげたる孝行糖、 食べてみな、おいしいよ、また売れた、嬉しいね」。 うまいな、お前、自分で やったらどうだ。 甚兵衛さんが、箱や、たっつけ、太鼓と鉦を用意してくれ た。 三日もすれば、馬鹿の一つ覚えで、「孝行糖、孝行糖、孝行糖の本来は、 粳(うる)の小米に寒晒し、榧(かや)ァに銀杏、肉桂に丁字、チャンチキチ ン、スケテンテン、昔、昔、唐土の二十四孝のその中で老菜子(ローライシ) といえる人、親を大事にしようとて、こしらえあげたる孝行糖、食べてみな、 おいしいよ、また売れた、嬉しいね」
おびえるな、飴屋だ。 子供がなめると、あやかって親孝行する。 飴屋、 飴屋! (振り向かないので、)おい、バカ! 振り向いた、言われ慣れてんだ ろう。 年はいくつだ? お向うの三ちゃんと同じ。 三ちゃんはいくつだ? ひとの年まで知らないよ。 飴くれ。 金だけ持っていくな。 商売です。 飴 を置いていくんだ。 ネトネトしてんな。 今、なめてたんで。 なめてない のをくれ。 何か云え、ありがとうございます、って。 どういたしまして。 大変な人気で、よく売れた。
うるさいことでは江戸一の小石川の水戸様の藩邸の御門前、腰には刀、今で いうと永田町の雰囲気。 「孝行糖、孝行糖、孝行糖の本来は…」。 鳴り物は、 あいならん。 門番の小言と鳴り物が掛け合いになって怒らせ、六尺棒でポカ ポカぶたれる。 噂に聞いております、と止めに入ってくれた人がいた。 ど こをぶたれたんだ? 「こーこーとー、こーこーとー」。
コメントをどうぞ
※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。
※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。
※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。