三語楼の「魂の入替」 ― 2006/04/04 07:09
柳家三語楼といっても、地味だから、知らない人が多いだろうが、小さんの 息子である。 この秋、六代目を襲名するという。 最近は、地味な中でも、 噺によっては、とぼけた味が効くことがある。 とぼけた味は、小さんの魅力 の一つでもあった。 小さん襲名が決まったせいか、すっきりした顔で出てき て、「ゆっくりしてって下さい。 限度はありますが…。 いつもは9時すぎ に終演だけれど、今日はわかりません。 トリがトリだから」と、「小三治さん」 と呼んで、小三治の話になる。 B型、変人が多い、凝り性、団体行動を取る のはいや、仲間はずれはもっといや。 凝り性の最後が、ハチミツ。 8人乗 の大きな車に乗っているのに、3人しか乗れない。 ハチミツと水がいっぱい。 せんだっても一緒に行った栃木で、ハチミツを沢山仕入れてきた。 お宅に着 いたので、下ろそうとしたら、「だめだめ、カカアに見っかってみろ」。
「魂の入替」、あまり演じられない、とぼけた噺である。 鳶の頭が、先生と いう人物にすすめられて、その家に泊まる。 二人で枕を並べ、ぐっすり寝込 むと、二人の魂が体から抜け出し、そろって吉原をひやかしに行く。 途中で 空から、頭の町内が火事なのを見つける。 頭の魂があわてて体に戻ろうとし て、うっかり大口を開いている先生の体に飛び込んでしまう。 魂が入れ替っ て大騒動、医者がもう一度寝かせて魂を入れ替えようと眠り薬を調合する。 そ れが効き過ぎて、二人の魂が体を出たまま、草むらで寝ているところを、ネタ 探し中の浅草奥山は見世物小屋の若い衆に拾われてしまう。 先生の家では、 祈祷師を呼び、日蓮宗の信者二十人も加わり、賑やかな祈祷がはじまる。 若 い衆、その音に引っ張られて、先生の家の所まで来て、金儲けも大事だが、人 の命も大事だと、二人の魂を放り出す。 まだ眠り薬が効いている魂は、丸窓 の所から家の中に入ろうとして、あやまって井戸の中に落ちてしまう。 「ド ンプク、ドンドンプクプク」というのが落ち。
このとぼけた噺に合いそうな、とぼけた味がたよりの三語楼なのだが、感心 しなかった。 それが、噺そのものの欠陥ではないということが、トリの小三 治を聴いて、はっきりしてしまうことになる。
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