箸と絣(かすり)2006/06/27 06:22

 紫陽花ゼミでは、同期の仲間がほかの期よりも多い。 彼らの話も面白くて、 刺激を受ける。 醤油を海外に売り込む仕事をしているS君は去年、中国で縦 (食べる人間と直角)に置かれていた箸が、なぜ日本で横に置かれるようにな ったのか、調べているという話をしていた。 今年、その後の展開を訊いてみ た。 中国の元の時代の壁画か何かに、横に置いたものがある(元は漢民族じ ゃないから、と私は言った)。 日本では、例の『魏志倭人伝』に書かれている ように、手食(てぐい)だった。 神事には箸を使っていたが、一般には箸は 中国から入ってきたのだろう、というような話だった。(うろ覚え)

 K君は、絣(かすり)のことを調べて、本を出版する仕事に関わっていると いう。 私などは「絣」のことを知らず、帰りの江ノ電の中で、糸染めしたも のを織るところから説明を受けた。 絣の技法は、沖縄本島から先島諸島へ、 奄美大島、鹿児島本土へと連なり、さらに陸路と海路で島原、肥後(熊本)、久 留米へと伝わり、四国の伊予に伝わった。 久留米(井上伝さん)と伊予での 技術的発展を経て、日本全国に普及していく。 さまざまなルートで伝播した ものが互に影響しあい、文化が開花したと思われるという。 沖縄の前には、 インド、カンボジア、インドネシアに、さかのぼるらしい。 久留米にルーツ を持つブリヂストンの石橋財団が、この「織の海道(うみみち)」を、わが国の アイデンティティの再発見と再確認を促すものとして、出版物や展示会で世界 各国に紹介する活動を行っている。