「爽やか」と「吾亦紅」の季題研究2007/09/18 07:06

 「爽やか」と「吾亦紅」の季題研究はそれぞれ、ひろしさんとななさんの担 当だった。 「爽やか」には、爽気、秋爽、爽涼、さやけし、さやか、などの傍題があり、 「秋になると大気が澄み、万物は晴れやかになり、はっきりと見えるようにな る爽快さがある。心身ともに心地よい爽やかさである」と、角川の歳時記にあ るそうだ。 ひろしさんは、同じような季題である「秋澄む」、さらに「秋麗」 と比較する。 「爽やか」は、心の爽やかさという心象、楽しさや弾みを感じ させるのに対し、「秋澄む」は、視覚、聴覚を強調するところがあり、「秋麗」 は、清潔な明るさプラス春の気分だと、微妙な違いを指摘、勉強になる。

 ななさんは「吾亦紅」の現物を回覧して、花弁のない玉のような吾亦紅の花 が、秋草に混じって風に揺らいでいる姿は、まさに秋の風情で、独特な紅色の 花が逆光には一段と映え、あざやかで美しい。 またアレンジメントなどにこ の花が入ると、たちまち秋の雰囲気をかもし出す名脇役となる、という。 講 談社の語源辞典によると『源氏物語』にすでにその名は見え、語源は「帽額(も こう)」とする説が有力だそうだ。 「帽額」は、宮殿の御簾などの上方につけ る水引幕の類をいい、そこに用いられる独特の文様も「帽額」と呼ばれる。 「吾 亦紅」は、つぼみの時に「帽額」の文様に似ており、割れた「帽額」に見える ことから、この名が生じたとされる。 高浜虚子に、次の二句がある。

 吾も亦紅なりとひそやかに

 吾も亦紅なりとついと出て