「バーナード・リーチ―生活をつくる眼と手―」展2007/09/19 07:44

 昔からバーナード・リーチの陶芸作品が好きだ。 朴訥な形状、文様の単純 明快さ、可愛さ(それは先日出光美術館で見た仙厓(崖の山なし)に通じるものが ある)、落ち着いた色の感じ、日本的でいてなぜか西洋を感じさせるところ、な どに魅力がある。 汐留の松下電工ミュージアムに「生誕120年 バーナード・ リーチ―生活をつくる眼と手―」展を見に行った(11月25日まで)。 この展 覧会は、バーナード・リーチ(1887~1979)を単に陶芸家として語るのではな く、生活との関わりの中で造形を考え制作に励んだ芸術家としてとらえ、その 創作活動を振り返るものだ。

 この美術館には、ちょうど一年ほど前に「富本憲吉のデザイン空間」展を見 に行った。 その展覧会も富本憲吉を陶芸家としてでなく、日常の暮しの中の あらゆる面に、美しいものを取り入れることを考え、実践した「インテリアデ ザイナーとしての富本憲吉」を扱っていた。

 青少年期を京都や彦根ですごした経験をもつリーチは、ロンドン美術学校で エッチングの技法を学んだ後、1909年に版画家として憧れの日本にやって来る。  生涯の友となる柳宗悦を始めとする白樺派の青年たちと知り合い、彼らの本拠 である我孫子で版画指導を行ったほか、イギリスで起こったウィリアム・モリ スらのアーツ・アンド・クラフツ運動など西洋芸術についての議論を通して、 手仕事や日用品と美の問題についての共通の認識に至った(のちの日本民藝館 設立に及ぶ)。 リーチは富本憲吉とも知り合い、楽焼の絵付けをきっかけに茶 道や茶道具に惹かれて、6代尾形乾山に陶芸を学び、我孫子の柳の家に窯を開 いて陶芸家としての一歩を踏み出した。