「俳小屋開き」の句会 ― 2010/11/26 07:26
編集のお手伝いをしている俳句雑誌の、立ち上げの中心メンバーから、「西荻 窪にこしらえた掘立小屋を「俳小屋」に見立て」、20日に主宰を招いて「俳小 屋開き」をするというお誘いを頂いた。 編集の現・元メンバーが集まり、句 会と小宴があるという。
「俳小屋」というのでログハウスのようなものでもお建てになったのかと出 かけると、建築家の柳澤潤さんが設計し『新建築』という雑誌に載るようなガ ラス張りの現代的な建物なのであった。 設計事務所の惹句は「6軒の「宝箱」 を重ねた家」「コーポラティブ住宅の到達点」。 「コーポラティブ住宅」とは、 入居希望者が自発的に集まって資金を出し合い、思い通りの仕様で建設する共 同住宅。 この建物では、上階の柱の下に柱を設けない「岡立ち」フレームの 鉄骨構造を採用したことで、各住戸ごとに施主の要望に合せたプランニングが 可能になったという。 6軒それぞれの住戸で、光の入り方、風の通り方、周 辺の景色の見え方などが、まったく異なる。
主人公の家は3階、全面がガラスだから、丸見え状態。 広いテラスの先は 隣の森、神社の森、近所の大地主の屋敷林などを見下ろして、「森の家」の名に ふさわしい景色だ。 大きなテーブルに平行して、中央に全面の本棚、ずいぶ ん余裕のあるのが羨ましい。 趣味である世界中の旅行本、高浜虚子を始めと する句集、音楽の本、福永武彦と阿部昭(私は読んだことがない)の全集、椎 名誠、池澤夏樹などなど。 働き盛りの年代、一人暮らし。 わが母校である 高校で俳句を始めてから三十年、今はいろいろのことに手を出しているが、将 来はここで俳句を中心に据えた生活をしたいと、抱負が述べられる。 そして、目出度くも楽しい、句会と宴となった。
句会に出した拙句。
冬うららまつつぐ走る中央線
西荻に良き家多し実万両
松庵の角を曲れば柿畑
ごつそりと生る余所ン家の蜜柑かな
選句したり、しなかった中にも、こんな祝句があった。
新室(ニヒムロ)の桜紅葉を讃へ合ひ
大玻璃に小春の空の近さかな
松庵といふ閑けさの小春かな
新築の家のにほひや冬ぬくし
今年酒抱へて新居祝ひとて
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