轟亭の小人閑居日記 　　　馬場紘二

　「ブラタモリ」の久保田祐佳アナウンサー、この番組ではヘラヘラ楽しそう なのに、ニュースを読む時はずいぶん難しい顔をしている。　ある人と「ブラ タモリ」の話になって、女性というものは、付き合っている時は番組の久保田 アナみたいな顔をしているが、結婚すると、ニュースを読むような顔になるも のではないか、と言ったことがある。　その久保田アナが、結婚したらしい。

　1月28日放送の第9回「江戸の盛り場」「吉原編」で、柳橋で舟に乗り、隅 田川から山谷堀で上がって吉原に入る昔のルートの途中、待乳山の聖天(しょう でん)様に寄った。　待乳山は、聖天山ともいう山谷堀河口の小丘、浅草寺末寺 の本竜院の本堂聖天宮がある。　聖天様は、歓喜自在天、大聖歓喜天の略、仏 教の護法神の一つで、ヒンドゥー教のガネーシャが仏教に入ったものらしい。　 障害をなす魔神を支配する神とされ、財宝・子宝・安産を祈るために祀られた。　 形像は象頭人身で、単身像と妃を伴う男女双身像がある(本尊については、後述)。　 妃は十一面観音が魔神としての働きを封じるために現した化身だという。

　久保田アナが結婚したらしいというのは、その聖天様で、タモリが結婚祝い をしていなかったと言って、大根を買っていたからだ。　タモリも知らなかっ たようだが、聖天様の大根、二股大根はお供物である。　紋章も二股大根だ。　 聖天様の本尊は秘仏で、男女が歓喜を交わしている姿らしい。　古来、花柳界 の信仰が厚い。　浅草「助六」の玩具に、狸が大根にかぶりつこうとしている 「狸と大根」というのがあって、その解説に「二股大根をご婦人に見立てると いうのは江戸時代の洒落で、昔からある玩具です」とある。

　いつも不思議に思うけれど、女子アナは結婚しても、名前を変えないのが、 最近の傾向らしい。　一種の芸名なのだろうか。　昔の名前で、出ています。　 夫の両親親戚などには、不満もあるだろう。　私の知る例外は、久能木から黒 田になり、渡邊になった、渡邊あゆみアナぐらいだ。