「梅雨」と「蜘蛛」の句会2014/06/18 06:25

 12日は「夏潮」渋谷句会だった。 兼題は「梅雨」と「蜘蛛」、私はつぎの 七句を出句した。

四万十は去年の暑さと梅雨出水

梅雨滂沱くずきり吸ひに京都まで

梅雨入りや片付けられぬ紙の山

梅雨滂沱「笠碁」の盤に水の垂れ

蜘蛛の囲の顔にかかれば張り強し

家の内徘徊蜘蛛と共棲す

蜘蛛の子や譬えの如くちりぢりに

 私が選句したのは、つぎの七句。

烟(けぶ)りつつとねりこの花梅雨に咲く  和子

青梅雨や己が心を腑分けして        和子

民宿の「思ひ出ノート」梅雨湿り      なな

梅雨入りやハンドルゆつくり切り曲がる   善兵衛

また沖の閉ざされて来し梅雨の浜      裕子

美しき緑の蜘蛛や脚繊(ほそ)き      英

落日を見定めて蜘蛛動きだす        ひろし

 あらためて、選句した句を並べてみると、感心するばかりである。 ひるが えって自分の句を見ると、少しも進歩がない、万太郎さんに訊けば「退歩して ます」と言われるに違いない。 せめて選句だけは、進歩したと思いたい。

 私の結果は、<蜘蛛の囲の顔にかかれば張り強し>を英主宰・さえさん・淳 子さん、<家の内徘徊蜘蛛と共棲す>を淳子さん・松子さん、<梅雨滂沱「笠 碁」の盤に水の垂れ>を幸雄さんが採ってくれた。 主宰選1句、互選5票の 計6票、ちょぼちょぼで、梅雨湿り寸前というところ。 さらに楽屋話になる が、「笠碁」の句を採ってくれた幸雄さんとは、先日ご一緒に柳亭市馬の「笠碁」 を聴いた。 「挨拶選句」とでも言えようか。

 俳句をやらない方には馴染みがない言葉だが、「蜘蛛の囲」は蜘蛛の巣(網) のこと。 主宰の選評、<蜘蛛の囲の顔にかかれば張り強し>実感、張り終え たばかりの巣は、顔にかかると弾力がある、蜘蛛への賛美、健康な感じ。 「か かれば」は説明的、「かかりて」がいいだろう。