【女東宮】という言葉から、原武史さんの意見 ― 2024/05/12 07:29
さらに『広辞苑』で「女」から始まる言葉をみてみると、知らない言葉が沢山あった。 「おんなとうぐう【女東宮】…皇太子である皇女。」は、初めて見る言葉だったが、そういうことが普通にあったわけだ。 男系男子主義、男性しか天皇になれなくなったのは、明治になってからである。 明治政府は欧米列強に対抗するため、絶大な権限を持つ戸主制度を作り上げ、その象徴として皇室典範で天皇を男性に限定した。
政治学者の原武史さんの「象徴天皇制を問い直す」(朝日新聞3月13日朝刊)というインタビューを読むと、行幸や宮中祭祀の多くも、明治以降に新たに考案されたり復活したりしたもの、つまり「創られた伝統」だという。 歴史学が専門の徳仁天皇が、それを知らないはずはないのだから、見直すべきものは、変えたり廃止したりすればよいという。
皇位継承問題は、踏み込んだ議論になっていない。 小泉内閣時代の2005年、女性と女系の天皇を認めるべきだという有識者会議の提言があったにもかかわらず、保守派は男系維持に固執している。 女系容認は「万世一系」が崩壊することであり、それはもはや皇室ではない、というのだ。 しかし現状で、次世代の皇位継承者は悠仁親王だけ、「綱」が切れる可能性は十分ある。 側室制度がなくなった現在、男系で皇位をつなぐことは極めて困難だ。 だから男系維持派は、戦後に皇籍離脱した宮家の男子を皇族復帰させたい。 しかし、この11宮家は、すべて南北朝時代に創設された伏見宮家がルーツで、600年以上前に分かれ、何十親等も離れた血筋でよいのなら、源氏の子孫でもよいことになる。 側室制度復活と同様、国民の理解が得られるとは思えない。
女系容認は必至かというと、仮に女性、女系を認めても、血統による世襲である以上、女性天皇や女性皇族は必ず誰かと結婚し子を産むことを求められる。 つまり未婚を貫くことも、もっと言えばLGBTQであることも否定され、多様性を肯定する世界の流れに明らかに反している。
では、どのように皇室の存続を図っていけばよいのか。 どう存続させるか、ではなく、そこまでして象徴天皇制を維持する必要性があるのか議論すべき段階だ、と原武史さんは言う。 天皇の地位は主権者である国民の総意に基づく、と憲法に明記されているとおり、そのあり方は国民が決めていくものだ。 根源的な問題まで、国民がタブーなく議論できる場が必要だ、と原武史さんは語っている。
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