青木百舌鳥句集『めらめら』を読む2024/06/07 07:02

 青木百舌鳥さんから句集『めらめら』(ふらんす堂)をご恵贈いただいた。 さっそく拝読して、三百五十句中、馬場紘二選二十句をお届けした。 前半は「何処で何をしているのか分からない」「写真を撮る人」「(老いぼれは落第の)WEB句会世話人」百舌鳥さんの片鱗を感じるもの、後半は俳味と観察眼に惹かれたものである。 題名は<めらめらと日なかに立てり冬の菊>という句から来ている。 青木百舌鳥さんは、その静かで穏やかな胸の内に、激しく燃ゆるものをお持ちなのだろう。

經世濟民朦朧として卒業す
風の蒲公英我に子のなかりける
ふと祖母の口真似をしてむめの花
夜桜や企業戦士でありし日も
父親に似しは海松貝好きなこと
崖に張りついて猩々袴撮る
浮巣撮るレンズに鳰のこちら向き
辣韮を齧る明日も仕事無い
我がために生きるさみしさ根深汁
花下に一人wwwの端

後ろ手に歩く春野の烏かな
菜の花に泛く東京の摩天楼
葉桜にもうマラカスのやうな実が
疑問符で夏うぐひすの鳴きをはる
胡麻油香り鱧天穴子天
雨降りに朝顔市の蒸れにけり
店頭に鰻を割くも成田山
社長ではないが松茸売が呼ぶ
雪降つてくる雪空の中途より
ローソンに入道雲の湧いてをり

  差出人は、經濟學部卒 馬場紘二とした。 新幹線と同じ60周年である。