福沢に俳句や短歌はあるか2007/03/14 07:08

大磯の高麗山(こまやま)

 某所で俳句に関係した話をしていて、福沢に俳句や短歌はあるかと訊かれた。  漢詩はあるけれど、俳句や短歌はないんじゃないか、と答えた。 頭の隅をか すめたのは、遣欧使節でパリに行った時、親しくなった日本研究家レオン・ド・ ロニーに書いて示した和歌のようなものがあったことだった。 しかし、福沢 の自作だったかどうか、その時には、判然としなかった。 芳賀徹さんの中公 新書『大君の使節―幕末日本人の西欧体験』にあることは知っていたので、見 てみる。 ロニーが遣欧使節と会った翌1863年に出版した“Recueil de textes japonais”『日本文集』の現代詩文の部に、福沢の歌が、福沢自身の筆跡で収録 されている、という。

植て見よ花のそたゝぬ里ハなし こころからこそ身ハいやしけれ 福沢諭吉

  芳賀さんは「これは福沢の自作の歌ではなく、歌というのでさえなくて一個 の俗諺(ぞくげん)であろう」と書いている。

 『福澤諭吉全集』第二十巻の「詩・歌・語」の中に「歌句」(468頁)という 一ページがあるのを、見つけた。 短歌のようなものが三首、俳句のようなも のが五句、俗謡が三首ある。 その中で、短歌や俳句といえるのは、つぎの二 つだろうか。

大磯の裏山「高麗山(こまやま)に登る」という歌。

 四方八方を眺る吾も諸共にながめの中の人にこそあれ

  友人本山彦一への手紙にあるという俳句。

 春風や座頭も花の噂して

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