志ん丸の「お茶汲み」 ― 2010/04/03 07:07
落語研究会では、一度かけられたネタは、ある程度の期間を空けなければ再 演しないことになっているのだそうだ。 粗忽なことに、長井好弘さんが今月 のプログラムに書いていたので、ああそうなのか、と思った。 古今亭志ん丸、 二ッ目の志ん太の頃から、あまり演じられないネタに挑戦して来た。 初めの 「あくび指南」(2003.7.)はともかく、「古手買い」(2004.5.)、「権助魚」(2006.4.)、 「やかんなめ」(2008.1)と来て、2008年11月志ん丸で真打になって「きゃ いのう」をかけた。 そのどれもで私の評は、一生懸命なのはわかるとしなが らも、もう一つ芳しくなかった。
「お茶汲み」も聴いたことのない噺だ。 吉原の妓楼に(代金)一分でと上 がった留ちゃん、初会なので上(かみ)から三枚目の女の子を選ぶ。 ひきつ けのおばさんのお茶がまずい。 上草履パターンパターンで、障子を開けた女 の子、留ちゃんの顔を見て「キャーッ」と駆け出す。 お引(し)けにしまし ょうよ、となっても留ちゃんの顔をじっと見ている。 あらためて聴いておく れでないかい、という女の話、駿府の在の生れで、好きな男が出来て、二人で 江戸へ逃げてきた。 自分が吉原に身を沈め、その金で店を始めた男が病気に なり、あの世に行ってしまった。 その男に、あんたが瓜二つなので、驚いた。 ずっと通っておくれかい、来年三月年が明ける、女房にしておくれかい。 一 つだけ心配事がある、おばあさんになった時が…心配だ、と泣く女の右頬にホ クロが出来た。 それがだんだん下へ下がる。 お茶で泣いてる、茶殻が下が ることがわかったけれど、ともかく一晩、みっちり、相手をしてもらって、お 天道様が黄色く見えた。
留ちゃんのその話を聞いた、一遍ももてた験(ため)しのない男、吉原のそ の「セコ大福」という妓楼に一分で上り、上から三枚目、目は糸メメズのよう に細く、小さい鼻に大きな穴、馬鹿でかい口をした女、名は「青紫」を選ぶ。 まずいお茶、なまくせえ、青汁なんかじゃないの。 でも、待ってる内に、飲 めるようになっちゃった。 上草履パターンパターン、女が入ってきた途端、 男が「キャーッ」。 花魁、俺の話を聴いておくれでないかい、駿府の在の生れ なんでズラ、(中略)、年が明けたら夫婦になってくれ、と泣くと、「待ってなよ ー、今、お茶汲んで来て上げるから」
今回も志ん丸、奮闘努力の甲斐もなく、爆笑という訳には行かなかったのは、 まことに残念だった。 修業、修業。
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